いまさら聞けない受験の基礎知識

 「いまさら聞けない受験の基礎知識」は、有名予備校の講師や首都圏の超進学校の生徒には当たり前の受験についての基礎知識を、多くの高校生や親御さんに共有していただく為のブログです。

15)


1-5-1.【地歴公民習得法】

 マインドマップは本当に役に立つのか?

▽ ドラゴン桜

 マインドマップが一躍脚光を浴びるようになったのは、ドラゴン桜の影響だと思われます。


 しかし、ドラゴン桜に書いてあることには、いくつか疑問があります。

 まず、絵や色ペンなどを用いてきれいにまとめることに意味はあるのか? ということです。

▽ 東大ノート

 これは私自身の経験に立脚した疑問です。

 優秀な東大早慶の学生と話していると、彼らがどのような参考書・どのような勉強法を用いて大学に入ったのかは、べつにこちらから聞くまでもなく話してくれます。その中で、こうしたマインドマップの話が出てきたことはまったく無かったのです。

 もっと、分かりやすい例を出しましょう。

 「東大ノート」という、東大生のノートをひたすらスキャンしては無料で公開しているサイトがあります。

 これらのノートに共通していえることは、意外なことにも書き手のいいかげんさです。これらのノートはすべて

 とりあえず、理解すればそれでよしとする。

 出来事ごとに書く

 ということを徹底しています。

 ただ、マインドマップ自体は、物事の習得にはとても効果的ですから、一つの出来事ごとに簡単にまとめてみるといいかもしれません。

 とくに、たてよこマインドマップといって、歴史の時系列ごとと、文化史・政治史などのジャンルごとにわけて書いてみることをお勧めします。

 志望する大学によっても、受験科目になにを選べばよいのかなどは違いますから、詳しくは受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。

▽ とりあえず埋めてみる

 私がおすすめするのは、学校などでもらえたり、あるいは最近では参考書でも打ってますし、ネット上からもダウンロードできるものもありますが、そういったところから入手する穴埋めプリントによる勉強法です。

 よくありがちな勉強法としては、オレンジ色のペンでこうした穴埋めをし、シートで隠しながら記憶する方法です。

 こうしたオレンジシート暗記もわるくはありませんが、いくつか問題があります。

 まず、どこをまちがったかわからないことです。間違いをチェックするのも、ともすると面倒ですし、なおかつ漢字の間違いがチェックできません。

 さらには、センター試験などでたくさんの選択肢があるときに、オレンジシート暗記のあいまいな記憶では、ついうっかり引っ掛け問題にひっかかってしまうこともあります。どうすれば良いのでしょうか?

 私がお勧めするのは、もう一枚、空欄のあるプリントをもらうことです。

 まず、一通り穴埋めを埋め、埋め終わって、さあ理解したという段になったらもう一枚の空欄のあるプリントでテストしてみるのです。

 そして、まちがったところだけを抽出して、同じ要領でテストを繰り返す。そのためには、やはりネット上からプリントをダウンロードするのが良いでしょう。いくつか良いサイトを後述しておきます。

 名門都立高の先生が無料公開する世界史プリント

http://www.geocities.jp/sekaishi_suzuki/


 東大ノート

http://www.todainote.jp/


20)


1-4-1.【数学・理科演習法】

 なぜ答えを丸写しするのか?

 そもそも、数学や理科の勉強法として、答えを丸写しすることが是とされたのは、和田秀樹氏の「受験は要領」からではないかと私は考えています。

 彼は、この本の初版にこんなことを書いています。

「受験には、根性も才能も偏差値も関係ない。思考力を鍛えろ、なんて真っ赤な大ウソ。 受験に創造性も論理性も知能指数も関係ない。きちんきちんと、暗記の貯金を着実に積み上げていけば、自然に受かるのが、大学入試なのだ。」

 また、彼はこの本で、赤チャートという最高難易度の参考書の例題をそのまま書き写し、丸暗記してしまうことを提唱しています。独自の塗り絵理論により、基礎は無視して、応用から進め、だんだん塗り絵のように基礎に戻ればいいという信じられないようなことも書いています。これは、野口悠紀夫氏の「超勉強法」でも提唱されている「パラシュート学習法」にも良く似ていますが、どちらも東大卒が机の上で思いつきそうな、常人には到底実行不可能な勉強法です。

 しかし、和田氏は以下のように主張を変えていきます。

大学入試は暗記力テストだ! 1988 

        ↓ 

実は理解の伴った暗記だった 2002 

        ↓ 

大学入試は知識量より思考力が大事 2007 

 そして、最終的にはこのような結論にたどり着きます。

 『結果的に、私が本書で提示した勉強法の骨格は問題はないが、細部でノウハウが古くなっていることや、暗記数学のためには理解が必要であることの強調が足りなかったことなどいくつかの点を反省することになった。 また、当時私は医者になって二年目の若僧で、現在ほど認知心理学の勉強をしていなかった。 

「丸暗記」ということばをあまりに多用する本書は、理解を伴った暗記と、機械式の丸暗記をきちんと区別していなかった。実際は、私の言う丸暗記は理解を伴った暗記のことだった。』

『■大学入試は知識量よりも思考力がカギ 

 思考力って日常的によく使う言葉だけど、具体的にどのような作業プロセスを言うのだろうか。まずそこから説明しよう。 

 脳のソフトについて研究する認知心理学では、思考力というのは、「自分の頭のなかに入っている知識を加工したり応用 したり組み合わせたりする一連の作業」を進める力を指す。君たちにもなじみの深いコンピュータになぞらえて言うと、人間の頭はインプットされている情報を組み合わせて答えを導く演算=思考を行っているわけだね。言うまでもなくインプットされている情報というのが知識に相当するんだけど、これがなければ思考作業は成立しない。無から有は生み出せないということだ。』

『このように受験においては、知識をいかに加工するか=いかに思考するかが問われる局面が数多い。大学側が見たいのは知識量の多寡という単純なことではなくて、むしろ知識を応用していかに考えることができるか、という思考力であるということをまず認識してもらいたい。知識量ではなく思考力で勝つか負けるかが決まる大学入試とはそういうものだ。』

 氏のいうところの理解を伴った暗記ということばの意味がいまだによくわからないのですが、確かに一部の頭のいい人は、公式などを丸暗記して、何度も使ううちにその意味するところを理解することができるという種類の人がいます。

 しかし、丸暗記という言葉自体は、サヴァン症候群の患者のように、理解を伴わない記憶を指すものです。

 こうした和田氏の、言うことをコロコロと変えて恥じない姿勢こそが、解法数学・暗記数学という魔法に取り付かれた狂信的な高校生の成績が伸び悩むもっとも大きな原因なのではないかと私は考えています。

▽ 数学の課題でありがちなこと

 もう一つの理由としては、学校や予備校から出される数学の課題の多さです。学校にせよ、予備校にせよ、なかなか生徒の成績があがらないとなると、すぐに膨大な量の数学問題集を手渡し、信じられないような量の宿題を課します。

 しかし、ここで先ほどの和田氏の歴史的名著()「受験は要領」が絡んでくると、話はともすると、きなくさい方向にながれるのです。私が通っていた(いや、あまり通わなかった)高校で実際にあった出来事をお話したいと思います。

 ついでにいうと、登場してくる三人は(私を含む)、ともにその後、学校を不登校になりました。「受験は要領」に書いてある「塗り絵理論」や「解法書き写し」をそのまま実行することは、それほどまでに受験生を追い詰めてきたのです。

(和田氏の本も、本によってはまともな本もあることをここで書き加えておきます! ただ高校生はたくさんの本を読み比べるほど暇ではないのも事実です!)

 ある日、学校や予備校からしんじられないような量の宿題を渡されます。

「宿題、どうするよ?」

「『受験は要領』らしいし、わかんなきゃ解答みて、そのまま書きうつせばよくね?」(いーねー!♪)

「でも、計算ミスでとちること多いから、どうしようかね?」

「やってるうちにどうにかなるっしょ!」

「あと、こんなに難しいとこから始めて意味あるのかな? なんか、問題の中の処理ですらよくわからないところがあるんだけど……

「塗り絵理論とかパラシュート勉強法っていって、パラシュートみたいに難しいところに飛んでって、塗り絵みたいに難しいところからでも、簡単なところに、塗り絵みたいに届けばいいんだってよ!」(なるほどー!)

 と、こんなことを話しながらがりがり勉強をしていくうちに、三人は体調を崩し始め、学校に来なくなりました。私はその後現役で大学に合格しましたが、一人は浪人して予備校に通い、一人は学校そのものを中退してしまって、いまでは連絡も取れません。彼らはどこにいってしまったのでしょうか?

▽ 計算練習

 では、なにをすればいいのでしょうか?

 月並みなようですが、数学の教科書を完璧にすることが一番だと私は考えています。これならまともに解いても、解答丸写しの解法数学の三分の一の時間でできます。

 こまったことには、教科書には丁寧な解説がないことですが、これも教科書ガイドを買って、答え合わせをしてしまえばいいのです。

 教科書ガイドの解答はたしかに雑で、つかうたびに偏差値が一下がるという教師もいますが、なにもしないよりはいいと思いますし、解答の書き方など、のちのち修正することは十分に可能です。

 まずは、基礎を固めることこそ大事なのですから、やはり数学の教科書を終わらせてしまうのが一番です。

▽ 同じ問題を何度も!

 また、間違えた問題については、同じ問題を何度も繰り返す必要があります。ある程度の区切りを決めて、間違った問題だけを二周目、三周目に持ち込むのがいいでしょう。

▽ カルキュールはいいのか?

 また、基礎ができない、計算ができないというと、カルキュールなどの別の問題集を薦める人が多いですが、教科書も参考書もどれも中途半端になっては元も子もないですし、それほど解説が充実しているわけでもないので、やはり教科書ガイドと教科書の併用が一番ではないかと考えます。

▽ 問題集

 また、学校から配られる、教科書に準拠した問題集もあります。

 あれも確かに基礎に焦点が合わせられていて、良問ぞろいなのですが、いかんせん解説がお粗末で分かりにくいという部分があります。

① 解説が良い

② 先生・チューター・講師に質問に行けば答えてくださる

③ 教科書を理解しているため自分で理解に困らない

 のであれば、こうした問題集を使うのが宿題を片付けるという意味でも、問題の質・受験問題へのつなげやすさ・問題数から考えてもぴったりだと私は考えています。

▽ チャート式

 チャート式については、和田氏の本では最近では、青チャートが薦められているそうですが、私には難しすぎると感じます。多くの高校でも、黄チャートや青チャートを薦められているそうですが、県内トップの高校でも、もしチャート式をつかうのであれば、どうしてもチャート式をつかいたいのであれば、白チャートを使うのが最善だろうというのが私の考えです。

 まして、大方の受験生にお勧めなのは、やはり白チャートです。黄色・青・まして赤に手を出せるのは、予備校でタダ券をもらうレベルの生徒でしょう。

 ほかにも、マセナのサルでも分かる~のような参考書も、数式のあいだに赤ペンで注釈が入っているものが多く、分かりやすいのでお勧めです。

▽ 多すぎないか? 多ければいいというものではない!

 しかし、教科書をとりあえず一通り解き終わった後に使う参考書はひとつだけにしましょう。その後は、そのままセンターや志望大学の問題に移ってしまってかまいません。そこで、解法の組み立て方の思考力≒試行力(試してみて、失敗して、修正する力)を付ければいいのであって、他の本は一切必要ありません。

 まして、大学への数学シリーズ、特に一対一のような、どうしてあんな難しい参考書が売れているのか良く分からないような奇書を買う必要は絶対にありません。合格体験記にあれを書いている奴は、単なる見栄っ張りで絶対に自分で解いてなんかいません。自分も合格体験記を書いたことがあるので良く分かりますが、こと入学したばかりの新入生というのは、のぼせあがって、やってもないことをやったと書きたがるものなのです。

 やらねばならない問題数が多すぎないか? 多ければいいというものではないということは、常に考え続けてください。

 また、どの問題をやればいいのか悩んだ際には、ぜひ受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。

 裏表学習法で解法を覚えよう!

▽ 丸写しをしないために

 さて、数学の勉強で一番大切なことをもう一度確認したいと思います。

 絶対に解答の丸写しをしないことです。

▽ 絶対丸写しをしないために

 絶対に解答を丸写ししないためには、なにが必要なのでしょうか?

 まず、答えを見ながら、ノートにかりかり書くことがないようにすればいいという考えから、私は、ルーズリーフの裏に、コピーしたチャート式を張ってみることにしました。

▽ 裏にコピーを張る

 この段階で、問題だけよんで、なにも張っていない面にかりかり答えを書き始めます。

▽ 裏返す

 一分考えてまったく分からなければ、裏返して、答えを読みます。これがポイントだと思ったところに線を引いてみても、何の意味も無いですから、後述するようなやり方で書き込みを入れてみましょう。

▽ 再現する

 一通り、解答の流れを記憶したら、一行ずつ、つまってもいいので、裏に書いてあったことを、表の何もない面に再現しましょう。

▽ 試してみる

 このとき大切なことが二つあります。

 一つは、計算はすべて自分の手で行うことです。どんな処理をしているのかが分かれば、あとで自分で計算することはできるはずです。それが出来ないのならば、教科書を教科書ガイドと一緒にやり直したほうがよほど実が大きいです。

 もう一つは、とりあえず、その後の解法がどんな流れだったかをうろ覚えでも覚えていれば、そのまま突っ走っていることです。とりあえず、自分が覚えていそうなところまで突っ走ってみて、岩盤にぶちあたったらまた裏返しをしましょう。

▽ 思考ではなく試行

 これは、数学という科目の性質を考えても理にかなった勉強法です。

 入試問題も含めて、数学は思考力が大切だといわれることが多いですが、実際には試してみる力≒試行力のほうがよほど大切です。

 とくに、実際に入試問題を解く段になると、いままで習得してきた解法をいかに組み立てるかが勝負になります。そのときに、教科書の解法から、一段上の解法を組み立てた裏返し数学の経験が活きるのです。

▽ 仮説⇒修正

 このように仮説を構築し、仮説を修正する経験は、入試でももちろん、他の教科でも活きてきます。

 よく、英語を得意にしたいなら国語を、小論文を得意にしたいなら数学を、ということを話す講師がいますが、これはあながち間違いではありません。一つの教科を極めても、偏差値60ぐらいで頭打ちになることがほとんどです。少なくとも入試直前までは、あらゆる教科をムダのない効率的かつ効果的な方法論でがんばってみることをおすすめします。

 実際、この数学にしても、私が高校認定試験のために教え子に手ほどきをしたのがきっかけで勉強法を極めることになりましたが、全教科、当初の二倍ほどの点数でパスした教え子は、その後SFC対策でもすさまじいスピードで成績を上げていきました。こうしたことからも、教科に偏らない努力は大切なことがわかります。

 もちろん、現実的にはそういった努力が難しいこともありますから、詳しくは私に受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。

▽ 裏返す時間

 さて、問題を考え始めてから、裏返して解答をみるまでの時間については、一分だとか、五分だとか、分かるまで考えろとか、諸説ございますが、私は、さくさくとシャープペンシルを動かす音が止まったころ、つまりもうこれ以上試行ができなくなったころが解答を裏返す潮時だと考えています。

 それ以上、なにもせずに考えていても(あるいは考えるふりをしていても)、それほど頭が働いていないことがほとんどで、ムダにしかならないからです。

▽ 覚える時間

 解法の流れをおぼえた目安としては、それを見ないで諳んじて説明することができるかどうかということが大切になってきます。

▽ 再現する時間

 再現する時間は、自分で考える時間や、解答をごりごり写すだけの単調な時間よりも一気に過ぎていくようにかんじますし、実際に時間の節約にもなります。効率性から考えてもお勧めです。

 それでも、永遠に受験を乗り越えられそうな学力がつく見込みが無いという方は、お気軽に受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。

 はずかしがらずに基礎まで戻ろう!

▽ 教科書の一番最初にある

 以前、京都大学の後期試験に出た問題でこんな問題がありました。

tan1°は有理数か (2006京大後期)

 この解法となる考え方はすべて教科書の一番最初に書いてあります。

【背理法】

1.あり得ない仮定をする

2.現実との矛盾を指摘する

3.初めから存在しなかったと結論付ける

【着想】

教科書の基本問題から

「有理数か?」的な証明問題は背理法で処理

【解法】

0.有理数=実数の内でa/b(abは整数)という分数で表せる数

1.tan1°が有理数であると仮定する←教科書基本問題の着想

2.tanの加法定理を繰り返し使う←これで間違える。

3.tan30°=1/√3 が有理数であることになり矛盾

 ゆえに,tan1°は無理数であると分かります。

 なぜ、この問題が解けないのでしょう?

▽ 着想の問題か?

 やはり、一番大きいのは着想の問題でしょう。

 それぞれの部分部分の解法はわかってはいても、それをつなげて一つの問題の答えにする段となると、手が止まってしまうケースが多く見受けられるように感じます。

 このような事態を防ぐためにも、やはり教科書と教科書ガイドを併用して基礎を固めた後に、ざくざくと問題集で「プレ試行力養成」に励まねばなりません。

▽ 計算力の問題か?

 計算力の問題もあるでしょう。

 この問題は、京都大学の後期試験、つまり東大や京大の医学部を前期で落ちたような超秀才が受ける試験ですが、それでも正答率は二割に届かなかったといいます。

2.tanの加法定理を繰り返し使う←これで間違える。

 この部分で多くの受験生は間違いをするのです。

 一行の数式に三行自作解説!

 では、受験生の八割以上が間違えたこの部分に関してだけ抜き出してみてみましょう。間違った際の解説の書き方としては、非常に参考になるはずです。

例題 tanの加法定理の導出

tan (α+β)

= sin (α+β) / cos (α+β)

△ そもそもの定義に戻ると、sinθ=a/hcosθ=b/h

△ ここで、そもそもの定義に戻ると、 tanθ=a/b

△ よって、tanθ= (sinθ=)a/h /(cosθ)b/h

 = [sin α cos β + cos α sin β] / [cos α cos β - sin α sin β]

△ sin (α+β) = sin α cos β + cos α sin β

△ cos (α+β) = cos α cos β - sin α sin β

△ サイタコスモスコスモスサイタ、コスモスコスモスマイナスサイタサイタ

 = [sin α/cos α + sin β/cos β] / [1 - (sin α/cos α)(sin β/cos β)]

△ 分子分母を cos α cos β で割ったもの。

△ どうして割るのか? ⇒ 最終目標がtanの式を出すことだから!(忘れがち!)

△ どうして1が出てくるのか? ⇒  cos α cos βcos α cos βで割っている!

 = (tan α + tan β)/(1 - tan α tan β).

△ 符号を勝手に変える人がいます!

△ 分母のマイナスはそのままですか?

△ 最終的なtan (α+β) にひきずられないように!


▽ 一行目は本当の基礎

 まず、自作解説の一行目だけ抜き出してみてみましょう。

△ そもそもの定義に戻ると、sinθ=a/hcosθ=b/h

△ sin (α+β) = sin α cos β + cos α sin β

△ 分子分母を cos α cos β で割ったもの。

△ 符号を勝手に変える人がいます!

 これは、本当の基礎の基礎を振り返るための解説です。

▽ サインコサインすら解説できずに

 なんでこんな当たり前のことをと思われるかもしれませんが、間違いの多い人、ケアレスミスといって言い逃れする人は、だいたいこの基礎が出来ていないものです。

 たとえば、三角関数の演習をしているときであれば、サインコサインすら解説できないままに問題を解いている教え子が多すぎます。そういうふうなことをしないためにも、まずはもっとも基礎的な部分から振り返らなくてはなりません。それこそ、主だった公式なども一度自分自身で証明してみる必要がありますし、よく出てくる概念については、きちっと人に説明できるようにしておかなくてはなりません。

▽ 二行目は気をつけるべき点

 次に二行目だけ抜き出してみてみましょう。

△ ここで、そもそもの定義に戻ると、 tanθ=a/b

△ cos (α+β) = cos α cos β - sin α sin β

△ どうして割るのか? ⇒ 最終目標がtanの式を出すことだから!(忘れがち!)

 これは、ある程度の基礎が出来た後でも、よく間違える、あるいは思い出せなくなる部分について説明しています。

▽ どこで間違えたのかわからない

 よく数学の添削をしていて、どこで間違えたのかわからない解答がありますが、これこそが一般に言うところの「ケアレスミス」といわれる間違いです。

 ただ、ケアレスミスは防げる間違いです。

 ケアレスミスを防ぐのに、もっとも大切なことは、ケアレスミスがどのようにして起こるかという知識を付けることです。

 ケアレスミスについての知識が蓄積されるごとに、私たちはケアレスミスを減らしていくことが出来ます。

▽ 三行目はつなげ方

 最後に三行目だけ抜き出してみてみましょう。

△ よって、tanθ= (sinθ=)a/h /(cosθ)b/h

△ どうして1が出てくるのか? ⇒  cos α cos βcos α cos βで割っている!

△ 最終的なtan (α+β) にひきずられないように!

 三行目は、次の段階へのつなげ方です。

 これが思い出せないがために、点数を半分近く失っている受験生は多いですし、そもそも例の問題の正答率が二割に満たないのも、それぞれの知識が解法暗記的したときのままに、ばらばらで体系付けられていないからです。

 次の段階へのつなげ方を意識し、それを書き留めておくだけでも、以後の演習成績は一気に変わってきます。

 それでもなおできない。継続するのが難しいという方は、一度、私に相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。


 基礎やりなおしのための高校認定試験向け数学無料動画授業!

http://shinobazudou.web.fc2.com/

 予備校のセンター無料解説動画

http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/center/10/lecture.html


名称未設定


1-3-1.【古文文法・漢文句法】

 丸暗記ではできない理由

 助動詞の暗記では限界があるということは、意外と知られていない事実です。

 別に助動詞の暗記がいけないわけではないのですが、なぜおぼえられないのか? ということは、冷静に考え直してみる必要があります。

 これは、あらゆる学習について思うことですが、授業とテストの間隔が確認テストも含めて長すぎるような気がしてなりません。

 どんな学習であれそうですが、理解・習得するまでの時間は三分から十分に制限し、同じだけの時間をかけて確認テストをするのがいいと私は考えています。

 古文であれば、なにかしらの文法書などはもらっているはずですから、そういったものでごろをつくってみたりして、なにかしら覚えられる形を整えた後に、習得→テストを細切れに繰り返すのがよろしいかと思います。

 ごろについては、ごろがまとめてのっけてある本を買うなどの方法もありますが、基本的には自分でつくったほうが習得は早いものです。人は自分で工夫してつくったものであれば忘れがたいですし、たとえごろをつくるのに時間がかかったとしても、そういった記憶は深く深く、自分の頭の中に残りますから、結果として勉強は早く片付きます。

 ごろがなじまない人は、理屈から覚えるのがいいですから、東大生のやっている無料予備校のmanavee.comなどで授業を見てから、テストをやってみることをお勧めします。

 テストについては、河合の「古典文法ステップアップノート30」などをテスト代わりに使ってみることをお勧めします。

 実戦に結びつけるには、問題の難易度を少しずつ上げてみることが大切だといわれますが、古文文法に関しては、簡単なものを出しても正答率が二割に届かない現状があるので、大学側もそれほど難しい問題はだしません。

 飽くまで問題演習ということを考えれば、英語の文法習得でもお勧めした、ある程度基礎を押さえた上で、センターの過去問をがりがり解きまくるスタイルがよろしいかと思います。

 文法に関して言えば、東進のサイトから無料で利用できる過去問データーベースでセンターの過去問を十年分ほど手に入れることができるので、文法部分だけ抜き出して演習すればいいでしょう。学校でセンター18年分などをもらう人もいるでしょうから、それでもかまいません。

 センター試験演習をひたすらやる効用をいくつかあげましょう。

 まず、第一に、どの文法事項が頻出であるかということがわかることです。

 一般に、参考書や学校・予備校の授業では、一度扱った事項は、一度しかやりませんが、センター試験では何度でも繰り返し出てくることがあります。どれが良く出てくる文法事項で、どれがあまり出てこない文法事項かが分かれば、記憶に強弱をつけることができますし、テストの結果もより早く向上します。

 しかし、これだけでは演習が足りないので、あとは、自分が志望する大学周辺の問題を解いてみると良いかと思います。

 

 理屈から覚える古文文法、助動詞は一日で習得できる!

▽ 自信がなかった講師

 最初、この方法を教え子にも試したのですが、個別指導講師の仕事がいそがしくなりつつあったこともあり、全統模試の国語全国二位の友達に、教え子を任せてみることにしました。

 最初、彼は自信がなさそうでした。教え子は、be動詞も分かりませんでしたし、まして古文文法など0からのスタートだったからです。

 任せてみて、一週間もしないうちのことでした。

 その友達から、定時制出身の教え子が一日で古文の助動詞を習得したという信じられないような話を聞きました。

「どんなテストしたのさ? なんか、魔法みたいな勉強法でもあるの? テストのファイル見せてよ!」

「いやいや、そんな人に見せられるようなもんでもないよ。恥ずかしい」

「でも、勉強ってのは確かにそうだよな。当たり前のことを当たり前に、の古文確認テスト、当たり前のことを当たり前にやる。それが一番大切」

 私の言葉に、その友達は素直にうなづきました。

 成績を魔法のように上げる奇跡のような奇抜な方法などないが、やってはいけない方法はあるというのが、少なくとも受験勉強に関しては鉄則です。

 当たり前のことを当たり前に。

 このことを、いかに愚直にできるかが勝負なのです。

 このテストについては、公開するほど出来のいいものではないという友人の希望から公開することはしませんが、気になる方は受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。そのときに、お見せしましょう。

 東大生の無料予備校 manavee.com

http://manavee.com/


1-3-2.【古文単語・漢文語彙】

 古文の単語については、Z会の速読古文単語や、学校の履修済みの教科書などを使って、英単語のときと同じように音読で覚えるのが良いかと思います。

 すこし、やりかたについてふりかえってみましょう。再び、私と東北大医学部の先輩の会話です。

「単語を覚えるときに、意味を一対一対応で覚えようとする人がいるだろ? でも、それは効率がわるい。それよりなら、『速読英単語』を一冊丸暗記したほうがいい」

「そんなことできるんですか?」

「できる。誰でもできる。地頭に関係なく」

「どんなふうにやるんですか?」

「まず、一週間目は一章だけやる。文章の解釈もノートにまとめてね。二週間目は一章と二章、三週間目は一章から三章、四週間目は二章から四章というふうに、ひとつずつずらしていく」

「どれぐらいやればいいんですか?」

「一日三回、週五回、三週間。合計四十五回。これだけでいい。かかる時間は一日に一時間もかからない。記憶効率からいって、寝る前にやるといい」

 これをする上で、英語のような面倒な下準備をする必要はまったくありません。丁寧に書かれた授業のノートさえあれば、だれにでもできる習得法です。


1-3-3.【古文・漢文演習】

 古文が読めるフリをしていませんか?

 古文・漢文の授業は、まじめに予習・復習していれば、語彙習得用の最高のノートをもたらしてくれる宝物です。しかし、その一方で学校・予備校の授業につきものの欠点もあります。

 それは、生徒に「わかったふり」をさせる、というものです。そうすれば、当面はわかりやすい講師という評判がついてまわりますからね。でも、それは予習をしていない生徒にとっては、毒になることはあっても、薬になることはありません。

▽ 主語と対象語を付け加えて

 私は、どれほど面倒でも、古文・漢文で主語と対象語が抜けている場合は、それを付け加えて現代語訳を生徒自身の手で作るべきだと考えています。

 学校の先生や予備校の先生は、なんの解説もせずに、当たり前のここにここを付け加えて読んでくれるので、なんとなしにわかった気になりますが、実際の試験会場では付け加えて出題されることなどまずありえません。

 ですから、どんなに面倒でも古文・漢文で主語と対象語が抜けている場合は、それを付け加えて現代語訳を生徒自身の手で作るべきです。

▽ 敬語を押さえて

 主語と対象語を決定する上で、一番大切になってくるのは敬語です。二重敬語なら、主語に入るのは誰と誰しかありえないといったように、敬語の種類によって簡単に主語を決定できることが往々にしてあるからです。

 このようなことをまじめにやっていれば、古文の成績はかならず伸びます。いまからではもう遅いというひとは、Z会の速読古文単語や、教科書ガイドを買ってきて、白文を自分で現代語訳してみて、添削すると良いでしょう。

▽ 漫画・小説はバカにできない!

 あと、古文にせよ、漢文にせよ、出題される文章はさほど多くはありません。ですから、一通り有名どころを読んでしまうことをお勧めします。これは、いわゆる古文常識・漢文常識を知るためでもあります。

 青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/


53)


1-2-2.【小論文の授業】

 授業に意味がない理由

▽ 小論文の授業とは?

 小論文の授業には、二つの種類があります。

① 型を倣う授業

 これは、たとえば多くの学校では、「文章の構成は起承転結が基本です」などという形で習うものです。

 起承転結。

 なんてことなしに、まるであたまの悪い呪文のように使われている言葉です。

 起承転結。

 もう一度、この言葉について深く考えてみましょう。

 まず、起とはなんでしょうか?

 これは、書き出しのことでしょう。おそらく。しかし、書き出しをなんの引き金もなしに、いきなり思いつくものでしょうか? 文章を書く上で、もっとも大変なのは最初の一行を書くことです。賛否表明を書くにせよ、課題文の要約を書くにせよ、最初の一行で採点者の印象ががらりと変わることを考えると、ここはないがしろにはできません。

 しかし、こんなことは学校でも予備校でも教えてくれません。もし、書き出しが思いつかなければ、センスがないねで切り捨てられる世界です。しかし、考えても見てください。慶應の全学部の試験、早慶の自己推薦入試、国公立の後期試験。これらすべてにおいて小論文試験は課されています。

 ですから、小論文試験はセンスの良し悪しで決まるものではなく、本来誰しもが努力すればちゃんと書ける、そして合格できるものでなければおかしいのです。そもそも、入試問題というのは、機会の公平性を担保されていなければならないもの、噛み砕いて言えば、正しい方法論で努力すれば誰でも解けるようにできているのですから。

 ですから、起についても、誰でも書ける方法があるはずです。

 これは後述するとして、では次、承について考えて見ましょう。

 このあいだ、「ノルウェイの森」の上下巻を読んでいたら、上下巻のあいだに承前・承後と言う言葉がありましたが、まさしくこの承というのは、前提となる背景知識のことです。

 しかし、考えても見てください。

 普通の高校生が、何百字・何千字の小論文を書くに足りる背景知識を持っているものでしょうか? もし、そんな高校生がいたら、はっきり言って気持ち悪いとさえ思います。

 こうした教養についても、文章を書くに足りるだけのものがなければ、学校や予備校の先生は、センスがないからといって、生徒を小論文入試から遠ざけ、もっといえば慶應義塾のような首都圏の難関私大入試から遠ざけさせ、地元の国公立に押し込めようとします。

 この手の講師は多くの場合地方の中途半端な国公立大学の出身であるため、自分の願望(首都圏の難関私大は地元の国公立に及ばない)を現実と履き違えて、生徒に押し付けます。本当に吐き気がするぐらいいやな教師です。そもそも、現実や自らのありのままの姿を客観的に見ることに何の役にも立たない教育など、ほとんど価値はありません。ほとんど価値のない高校教員や予備校の教員が多い理由は、ここのところを良く分かっていない頭の不自由な教育者があまりにも多すぎるからです。

 もっといえば、こうした講師のやっかいなところは、首都圏の難関私大は地元の国公立に及ばないと、生徒を洗脳してかかるところです。これは真っ赤なウソです。たとえば、私がいる慶應SFCからは毎年初任給40万を超える外資系企業へ就職する方がたくさんいますが、一方で東北大の文系学部の学生のほとんどは(こと文学部や教育学部に関していえば)パチンコ屋に就職する人も多い現状があります。べつにパチンコ屋が悪いとはいいませんが、就職のことも考えるならば、事情が許すならば、都会の大学を目指すべきだと私は考えています。

 ですから、私は誰でも小論文を書くのに十分な背景知識を習得できるプランを用意しました。後述しておりますので、見ていただければ幸いです。

 また、転に関しても考えて見ましょう。

 これは、おそらく小論文の論理の展開がめまぐるしい部分を指すのだと思われます。樋口式の参考書でいえば、たしかに~しかし~の部分です。

 しかし、たしかに~という前提条件の部分が、課題文と食い違う失敗や、しから~といって提示したものが、前提条件とまったく関係ない話題であるという失敗が、実際の受験生にはあまりにも多いように感じます。

 また、これも詳しく後述しますが、そもそも樋口氏の代表的な著作「読むだけ小論文」にあるような、小論文の模範文例を丸暗記して試験に臨むようになあり方は、本来の小論文入試の目的にもそぐいませんし、作業量があまりにも多く、とても非効率なのではないかと私は考えます。

 最後に、結論部分にあたる、結に関してですが、この部分に関しての書き方を納得できるように教えてくれた先生は、いまだこの自分以外には誰もいません。いろいろな人に聞いてみたけれども、誰一人として答えられる人はいなかった。

 こんなあやふやな、カリキュラムもシステムもへったくれもないような状況で運用されているのが、日本の小論文教育の現状です。

 私なりに、センスを必要としない方法論を見つけたので、これも後述しておきます。七月から受験勉強をはじめた不登校の教え子が、このやり方で全国一ケタ台の順位を慶大プレで獲得したなど、実績のあるやり方ですので、きっと参考になるはずです。

 それでもまだ、腑に落ちない、小論文を書いてはみたけれども書き方がよくわからない人は遠慮なさらずに受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただいて結構です。

 

② 背景知識をつける授業

 背景知識の習得について、私はこのように前述しました。

『これは、リンガメタリカとアカデミックの計六冊を半年で暗誦することで、英語の勉強と両立させつつ習得します。時間がなければ、リンガメタリカ一冊を一ヶ月で暗誦するのでもかまいませんし、リンガメタリカの文系部分を二週間で暗誦するのでもかまいません。』

 たしかに、リンガメタリカやアカデミックは、たしかに古典的な教養の習得には向いています。京都大学やSFCを除いた慶應、国公立大や教育大・医学部の小論文であればこのような内容で十分すぎるぐらいでしょう。それこそ、教育大や看護系の学校の場合には、樋口式だけで十分な場合もあります。

 しかし、SFCの場合には、最近の時事を反映した問題が出てくることがあります。(マニュフェストやツイッターについての出題など)

 また、早慶の他の学部の自己推薦・指定校推薦の入試においても、カンサンジュンの『悩む力』が出題されるなど、近年は話題の本からの出題をいとわない傾向が見られます。

 そういった出題に対応するためには、鮮度のよい情報を仕入れる必要があります。いくつか良いサイトを後述しておきましたので、参考になさってください。

 また、背景知識の仕入れ方については、志望校別にいろいろなクセもありますが、紙面の都合上、すべてを解説することはできませんので、お悩みなどがあれば私まで受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。

▽ もっと単純作業におとし込む

 私は、起承転結という、いままでの小論文教育にありがちな方法論に強い疑問を感じています。なにが悪いのか? どうやって解決するのか? どうやってその解決策を人々に納得してもらうのか? 小論文に必要なのは、この問題発見・問題解決・解決策浸透手段の三つしかないと考えているからです。

 それを起承転結のような、ろくに書くための方法論も提示しない、そんなあいまい極まりないやり方でごまかしてしまう従来の小論文教育に私は強い憤りを感じてきました。そこで、以下のような書き方を教え子たちに指導してきました。

 七月から受験勉強をはじめた不登校の教え子が、このやり方で全国一ケタ台の順位を慶大プレで獲得したなど、実績のあるやり方ですので、きっと参考になるはずです。

一、序≒要約

 逆接・否定・対比・不等号・例示に記号を振り、その記号が多い部分から要約を書き始めます。

 このやり方が目標とするところは、文章をありのままに読むことを教え子に徹底させることです。

 とかく、多くの小論文初学者(というよりも受験生!)は自分が読みたいように、自分に都合のいいように文章を、というよりもあらゆる物事を解釈します。和田秀樹の本が、なぜ多くの受験生にとって、たいていの場合毒にしかならないかということを考えたときにも、このことはよくわかるはずです。多くの受験生は、自分にとって都合のいい部分しか読まず、都合の悪い部分・意味の良く分からない部分をすっとばす。国語辞典を引くこともなくすっとばす。

 そのために、課題文の意味するところについて、大きな誤解をしていることがままあるのです。

 余談ですが、私は前述したように受験英語に関しては、英和辞典を引くことにはほとんど意味がなく、基本的に単語帳に書いてある英単語を習得することで間に合わせるべきだという考えを持っています。

 しかし、こと日本語に関しては分からない単語があれば国語辞典を引いたほうがいいという立場です。それは、小論文・現代文の課題文が、英文読解で出てくる文章よりも極めて難解な文章が出題されることが多いためです。

 このような現象が起きる理由は、大きく分けて二つあります。

 まず第一には、日本語という言語そのものの読みにくさです。

 特に早稲田大学の現代文などは、逆茂木文といわれるような、どのように修飾語句がかかっているのかすら分からなくなるような複雑な文章が出題されます。難解に書けば書くほど、理解してくれる人が少なければ少ないほど、自分の頭が良いのだと考えるのが日本の知識人というものなのです。特に早稲田を出た学者に多いのですが、到底日本語とは思えないような粗末な文章を平気で世に出す人が散見されるのは極めて残念なことです。どうでもいいことですが。

 また、主語や目的語が省略されがちなのも、日本語の文章が読みにくい原因の一つでしょう。

 もう一つには、日本語は多くの受験生にとっては母国語であるし、受験問題を作る教授の先生方が若い頃に読んでいた程度の文章なら問題なかろうという、出題側の大きな誤解があります。

 そもそも、出題側の教授にしても、そうした難しい文章の字面をただ追ってみただけで、実際に若い頃から完璧に理解していたというわけではなさそうなのですが、とかく難しい文章を出したがる教授というのは、特に早稲田あたりだと多いようです。難関の国公立大の一部でも見られる傾向です。

 こうしたことを考えたときに、早稲田や難関国公立大学を受けずに、いっそ受験校を慶應だけに絞るという選択肢も、在校生の私としては多いに歓迎すべきものなのです。しかし、慶應の学者は、難しい言葉や逆茂木文を書かない代わりに、助詞以外のすべての日本語を外来語にする傾向があります。こんなことをされては、元も子もありません。

 たとえば、慶應の教授のAO面接のときの発言の様子は、前述の文章だったらこのように変換されるのではないかと訝ってしまうようなものです。とくにこの傾向はSFCに顕著です。

『そもそも、出題サイドのプロフェッサーにしても、そうした難しいセンテンスのフェイスをただ追ってみただけで、実際にヤングなタイムから完璧に理解していたというわけではなさそうなのですが、とかくディッフィカルトなセンテンスをテイクアウトしたフィールするプロフェッサーというのは、特に早稲田あたりだとメニーなようです。難関の国公立大の一部でも見られる傾向です。

 こうしたことをシンクアバウトしたときに、早稲田や難関国公立ユニヴァーシティーを受けずに、いっそ慶應だけにプレスするという選択肢も、在校生のマイセルフとしてはメニーにウェルカムすべきものなのですが、しかし、慶應の学者は、ディッフィカルトなワードや逆茂木フィギュアを書かない代わりに、助詞以外のすべての日本語を外来ランゲージにする傾向があります。サッチことをされては、ファンデーションもチャイルドもありません。』

 どうでしょうか? うんざりするようなルー語変換でしょう?

 このような文章でもちゃんと意味を理解するには、センスなどというあいまいなものに頼るのではなく、ましてセンスがないと先生から言われたからといってあきらめることもなく、逆接・否定・対比・不等号・例示に記号を振り、その記号が多い部分から箇条書き要約を書き始め、それを最終的に小論文にまとめていく作業を地道にやることです。国語辞典を引くことも大切です。

 辞典を引くことが面倒であれば、現代用語の基礎知識やMD小論文などをまとめて読んでしまってもいいかもしれません。一読しておけば、課題文の語彙の難しさに困難を感じることはほとんどなくなりますから。

 しかし、これも目指す大学や、問題文のクセなどによって、やり方が変わってきます。板野式現代文などの記号を振る系統の参考書を参考にしながら、分からないことがあれば、いつでも私まで受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。


二、破≒自説の展開

 問題の分解、問題の設定、なぜなぜ分析、利害関係者検討、多方面検討、などを用いて自説を展開します。

 破≒自説の展開といったところで、そもそも、自説とはどのようにして用意するものであるのかは多くの受験生にとって謎が多い部分です。

 「読むだけ小論文」で有名な樋口先生は、これに対してすばらしい解答を用意してくださっています。いわく「自説など無くてもよい。私の本を読んで、その考え方を丸暗記すればよい」これは確かにすばらしい考え方です()

 樋口先生の本が売れに売れて、困ったことが二つ起こりました。ひとつずつ紹介していきましょう。

 まず、第一には受験生の書く小論文がどれも似たり寄ったりになったということです。私は、教え子の小論文を添削していて、一発で樋口先生の本を読んだことがあるか、東進に通ったことがあるかが分かります。なぜなら、彼らはまったく同じことを書くからです。

 これは、面白いことです。樋口先生の教え子が少なかった時代にはこうしたやり方には極めて効果があったのでしょう。しかし、受講生が増えたおかげでというかなんというか、似たような小論文を書く生徒があまりに増えすぎました。

 第二に、結果として、多くの難関大学では、樋口先生の「読むだけ小論文」に取り上げられているような話題については取り上げなくなりました。

 考えてもみれば当然のことですが、もはや、自説は自分で用意しなければいけない時代になったのです。

 私は、自説を自分で用意する上ででもっとも効果を発揮するのは、なぜなぜ分析であると考えています。なぜなぜ分析とは、課題文に逆接・否定・対比・例示・不等号の記号を振った後、一番記号が集中している部分≒一番重要な部分の周辺から、課題文が設定している最も大きな解決すべき問題を見つけ、その問題がなぜ起きたのか? ということについて、ひたすらなぜなぜ?と質問を繰り出し、その答えを課題文中から探すというものです。

 では、ここで自説を展開する際にすべきことについてもう一度考えてみましょう。

① 問題の設定

 課題文に逆接・否定・対比・例示・不等号の記号を振った後、一番記号が集中している部分≒一番重要な部分の周辺から、課題文が設定している最も大きな解決すべき問題を見つけます。

② 問題の分解

 ロジックツリーというのは、大きな問題を小さな問題ごとに分けて、その中で一番解決しやすく、あるいは一番重要なものについて、①のなぜなぜ分析を適用して解決していくものです。

 これは、なにかしら否定の語句が出てきたときに使えます。否定の語句が出てきたときには、ロジックツリーを書いてみて、そこに大きな問題を載せてみます。そして、そこから文章中ではどのようにして問題が分解されていくのかをチェックしてみるのです。

③ なぜなぜ分析

 ①と②で見つけ出した問題がなぜ起きたのか? をなぜ? なぜ? という質問の繰り返しで見つけだし、もうこれ以上考えられないというところまで質問を繰り返します。その段になれば、問題の原因が突き止められるため、おのずと解決策が浮かんでくるというものです。

④ 利害関係者検討

 しかし、解決策というのは、リアリスティックでなければなりません。本当にその解決策が現実的なのかを考える上で大切なのは、その解決策に関わる人全員が得する解決策なのか、あるいは全員が平等に損をする解決策なのか、少なくとこのどちらかでなければ、②からやり直しましょう。

⑤ 多方面検討

 いままで、リンガメタリカやアカデミック、後述のさまざまなサイトから仕入れた背景知識を用いて、その解決策が実際に正しいかを考えましょう。

三、急≒説得

 最後に、自分の意見が正しいということを、背理法、前提条件確認、定義確認などを用いて証明し、読み手を説得し、納得させます。

 なぜなら、問題の解決策を考えても、その解決策を読み手に納得してもらわなければ、高得点はおぼつかないからです。

 自分や教え子の経験からも、背理法を用いて、自説を受け入れさせるのが一番かと思います。

 背理法というのは、数学の証明につかう方法の一つですが、自分と逆の結論きが正しいと仮定したときに、行き詰る。であるからにして、自分の結論は正しいとする証明方法のことです。

 ほかにも、大きな問題に関連する重要な用語の【定義】を確認しなおすことで、自分と相反する主張がほとほと的外れであることがわかることもあります。

  また、自分の主張と自分と相反する主張が持つ共通の前提を確認することで、実は自分の主張と自分と相反する主張がそれほど決定的に対立するものではないことが明らかになることも多いのです。この場合は結果として、相手の意見の良い部分は取り入れることができるようになります。こうして、読み手をより深く納得させることが出来るのです。

 しかし、これも目指す大学や、問題文のクセなどによって、やり方が変わってきます。板野式現代文などの記号を振る系統の参考書を参考にしながら、分からないことがあれば、いつでも私まで受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。また、小論文については、京大・慶大・早大でしたら過去問の解説が二十年分ほど、模範解答と音声講義データーを私が持っておりますので、受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)をしていただければ、そちらもお譲りいたします。

 

 内田樹先生のサイト

よい小論文執筆の参考に。

http://blog.tatsuru.com/


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