いつの時代からか、大学入試の勉強といえばチャート式! 高校数学といえばチャート式!という図式が定着した。困った事に、学校に課題にまでチャート式が使われることが多くなった。
CheNaoto 2013-08-18 16:17:01
そもそも、嫌がらせみたいにチャート式がはやりだしたのは、和田秀樹氏が「受験は要領」という大ベストセラーの中で、チャート式の解法を暗記するといいですよという話を始めたからである。
CheNaoto 2013-08-18 16:17:41
灘高現役東大理IIIの和田秀樹氏には、それが出来たようだけれども、私のようなバカにはそれができず、高校時代は不登校になるほど苦しんだ記憶がある。本当にこまった。なにが困ったかというと、和田秀樹氏が言っているように、数学の答えを丸写ししてもまったく解法なんて覚えられないからだ。
CheNaoto 2013-08-18 16:20:47
大学に入ってから受験指導に関わるようになって、教科書の計算問題を教科書ガイド片手に徹底的に十回も二十回も反復して、反射的にできるようにして、そのあとチャート式の解法を音読して、白紙上に何も見ずに再現できるようになり、最後に入試問題を仕上げるというやり方を学んだ。
CheNaoto 2013-08-18 16:21:47
これならまぁどうにか私にでもできた。しかしまぁ、なにせ数学にばかり時間が掛かりすぎるので、これには悩ましかった。いったいどうしたことか、もっと時間の掛からない方法はないのかと思い、ずっと探し続けて来た。
CheNaoto 2013-08-18 16:22:30
そのうち、チャート式は、数学の解法パターンである、類似・同一なものを探す、対称性を探す、というのを単元ごとにパターン化して教えているだけですから、数学的な考え方せいぜい10個ぐらいが殴られても忘れないぐらい身に付いていればチャート式をやる必要はありません。そのまま入試対策でいい。
CheNaoto 2013-08-18 16:22:59
ということに気がついた。気がついてみたら単純なことだった。
CheNaoto 2013-08-18 16:23:10
こういう境地に達するために、まず大切なのは前提・定理を深く知る事である。そのために計算問題を飽きるほどするという側面もある。単純な計算問題というのは、出来のいい小説に似ていて、解けば解くほどにその意味がわかるようになり、味わいが変わるものだからである。
CheNaoto 2013-08-18 16:24:58
そもそも円周率とはなにか? そもそも背理法とは何か? これが分かるだけで解ける東大の問題・京大の問題もある。しかし、こういう問題は典型例題の組み合わせとは違うので一般に正答率が低い。上位層の生徒でも、殴られても忘れないほどに基礎を徹底していないという証拠である。
CheNaoto 2013-08-18 16:26:59
だから、単純な計算問題の反復と、その先にある定理の証明・本質の理解を経て、チャート式の解法再現を経ずに、いきなり入試問題対策へとぶっ込む形で時間の節約を図る時には、まず基礎こそ徹底する必要がある。忘れられがちなことなので、何度でも言うが過去問を解くことより基礎の徹底が大事だ。
CheNaoto 2013-08-18 16:28:53
これが出来ていないと、見た事のない問題が解けない。難関大学であればあるほど見た事の無い本質的な問題が多く出るので、緊張して典型例題で完答のつもりが半答しかできないときに、本質的な問題ができるかどうかは勝負だし、大学に入ってからも基礎を叩き込んでおくと同級生と差が付けられる。
CheNaoto 2013-08-18 16:31:50
また、基礎ができていれば、どんな難問が出て来ても、かんたんな問題の集合として分解して解いて行くことができる。ブラインドタッチをするように、反射的に楽に問題が解けるようになるのである。
CheNaoto 2013-08-18 16:32:42
そもそも、問題を解く時に、解いた事があるから分かるという形で解く事は、問題解決からの逃げである。それで仮に万が一なにかのまぐれで大学に合格したしても、(私大の数学入試は早稲田・慶應レベルでもこれで合格する人が多い……)その後の人生で問題を解決する上では数学は何の役にも立たない。
CheNaoto 2013-08-18 16:34:17
まず基礎があり、その上で入試問題に取り組むときに、必要な考え方は10ある。これさえ分かればチャート式をせずに済む。この無駄で不毛な時間を、他の教科の勉強につかうことができるのだ。たとえば、時間を投入すれば確実に点数を与えてくれる、古文・漢文・英語・地歴あたりにこの時間を使おう。
CheNaoto 2013-08-18 16:35:47
http://t.co/bQx4fTNSdIに書いてある10のアプローチは、以下のとおり。
CheNaoto 2013-08-18 16:36:28
(1)次数を下げる (2)周期性を見つける (3)対称性を見つける (4)逆を考える (5)和よりも積を考える (6)相対化する (7)帰納的に思考実験する (8)視覚化する (9)同値変形を意識する (10)ゴールからスタートをたどる
CheNaoto 2013-08-18 16:36:32
一つずつ、私なりの言葉で解説したいと思う。いくつか追加で書き加えたいこともあるので。
CheNaoto 2013-08-18 16:37:23
まず、次数をさげることについて。なんで下げるかって言うと計算が楽になるから。三次方程式の解の公式より、二次方程式の解の公式の方が楽だし、普通に因数分解するときにしても、因数定理なんて高校でやる数学の中では一番論理的じゃないというか当てずっぽう色が濃いからなるべく避けたいところ。
CheNaoto 2013-08-18 16:42:20
周期性を見つける事について。むかし、悪そうな奴はだいたい友達という手あかの付いたセリフがあったけど、それと一緒で、大きそうな数、変な数が連続して出て来たらだいたい周期性を使うのだと思った方が良い。あと、変な数列をみたときもおなじ、1,2,3,1,2,3みたいな。
CheNaoto 2013-08-18 16:49:30
対称性を見つける事について。これは東大の確率の問題でも出て来てたけども、対称性が鍵になる問題は、多分受験生の頭を混乱させないためか、本来なんらかの文字付けが必要なところが空欄になってて、受験生自身が定義できるようになっている。A:A'みたいな感じで整理できると解くのがすごい楽。
CheNaoto 2013-08-18 16:50:54
逆を考えることについて。これは論理的な意味での逆裏対偶とかっていうこともあるんだろうし、それはそれはよく間違えがち・知ったかぶりしちゃいがちな概念なのでちゃんと理解しないといけないけど、それ以上に相似を見つける時に使えそうな気がする。これが分からず苦戦することは多い。
CheNaoto 2013-08-18 16:54:09
逆でも裏でも対偶でも、角度を変えて相似を見つける時でもそうなのだけど、どうしても人間あれが逆でとか考えている頭がこんがらがるので、この手の問題は解いている時に、分かりやすく考えをまとめる時に、死ぬほど細かくメモをしたほうがいい。
CheNaoto 2013-08-18 16:55:17
相似を見つけた時だったら、どの角がどの角に対応するか分かりやすく書くとか、逆でも裏でも対偶でも、まちがいやすい接続詞のところには線を引いて置くとか、何事も備えあれば憂い無し。
CheNaoto 2013-08-18 16:55:59
和よりも積を考えるというのは、情報量を絞る役割もありますが、和と積は自由自在に変形できるんだという意識を持つのも大事です。対数を取ったり、対数を削ったりすることで、自由自在に変える事ができます。難しい問題は、わりとこのあたりをしっかり使えると、完答に結びつくものが多い気がします。
CheNaoto 2013-08-18 17:01:09
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相対化するのも大切です。一つだけみてるとなにがなんだかさっぱりわからない、なんの糸口も掴めないという問題でも、二つ比較してみたり、地続きになっている問題全体を見渡すと、その中でその一つのヒントが意味していることが、はっきりとくっきりと分かることがあります。
CheNaoto 2013-08-18 17:06:04
帰納的に思考実験してみることも大切です。特に大きな数字が出て来たり、途方も無い計算をしなければいけない気がしたときは、小さく実験して、大きな完答に仕上げるという姿勢がものすごく大切になってきます。具体的につかめる範囲の数やイメージを使うことで、正解へと近づくのです。
CheNaoto 2013-08-18 17:07:50
視覚化するというのは、私はあまり好きな手段ではないのですが、最後の手段としては有効です。人間の脳みそには限界がありますから、数式だけ見せられてもどうもイメージできないことがあります。そういう時にヒント程度に視覚化することは確かに大切なことなのかもしれません。
CheNaoto 2013-08-18 17:09:23
ただ、一つだけ忘れないでいてほしいのは、視覚化したグラフなりなんなりを根拠にして答えを導き出すことはできないということです。記述答案でよくこういう答案を出す人がいるので、それだけは勘弁していただきたい。あと、えてして勘違いとか間違いを補強する材料にもなるので図は正確に。
CheNaoto 2013-08-18 17:14:10
必要条件と十分条件を理解することも大事ですね。世の中の議論でも、これがごっちゃになっている事も多い。詐欺師もこれを混同することが多い。だから、世界を生き抜くためにも、これをちゃんと理解しないとダメです。
CheNaoto 2013-08-18 17:15:13
あとは、ゴールからスタートを遡るというのも大事な考えではある。証明問題で、あと三行が分からないときは、結果から逆算して、どういう処理をすれば正答なのかということを考えるというのも一つのテクニックだ。そうすればひらめきは必然になる。
CheNaoto 2013-08-18 17:19:58
ここまで書いていて思った事だが、これらの思考が殴られても忘れない程度に頭に入っているのであれば、チャート式はいらない。いや、これらの思考がまだあいまいな状態でもチャート式はいらないかもしれない。
CheNaoto 2013-08-18 17:21:31
なぜなら、最近は東大の数学50年分などが売ってあって、単元ごとに分類されているからだ。過去の問題の今は習わない分野はそれはそれで分類をしてくれているので、少なくとも理系数学までやった人についていえば、これで解法再現を試してみて、典型解法を習得してもそれはそれでいいのだ。
CheNaoto 2013-08-18 17:22:27
問題数ベースでいっても、どの大学も500問ぐらいはあるから、基礎の問題に分解し、その集合として解くような感覚で解法再現なり演習なりをすれば、チャート式の例題数と遜色ないレベルだろう。これが次世代の数学勉強法なのではないかと半ば本気で考えている。
CheNaoto 2013-08-18 17:23:30
とかくチャート式が薦められがちな世の中ですけれども、一つの選択肢として、チャート式を使わない勉強法を考えていただければ幸いです。
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