次のテーマは「"なんとなく買う"商売の終わり 〜同調圧力から、切実な需要へ〜」です。8月中にどうにか100テーマぐらいは、いろいろな文章を書いて行きたいと思っています。
CheNaoto 2013-08-14 07:49:40

学習塾をやっていた時に思ったのは、ああ、これはそろそろ「なんとなく買う」商売は終わるだろうなぁということでした。そういう時代の流れをひしひしと感じていた。
CheNaoto 2013-08-14 07:50:17

以前、東証一部上場の大手塾の社長と食事をした時にも全く同じ事を言われた。いわく、受験生以外の客の入りが悪い。いわく、一番最初の就職氷河期世代(今の30代後半ぐらい)の親御さんからお金を出し渋る傾向にある。つまり人々が"切実な需要"を持たない商品への眼を厳しくした。
CheNaoto 2013-08-14 07:51:42

これはたとえば、不動産なんかにはもう出て来ているトレンドで、たとえばバブル期は田舎も都会も不動産は値上がりしたものだけど、最近不動産バブルが起きても都心しか値上がりしない。人々が切実な必要とする土地しか値上がりをしなくなった。人々の見る目が厳しくなって来た。
CheNaoto 2013-08-14 07:52:43

実のところ、日本には「なんとなく買う」製品を主力に大企業・ガリバー企業になったところというのは多くて、たとえば通信教育なんかはその最たる例。通信教育なんか答案を返却する生徒なんかろくにいないのにあれだけ売り上げている。でも、あと十年もしたら厳しい気がする。
CheNaoto 2013-08-14 07:53:57

「なんとなく買う」製品の特徴というのは、それが強い同調圧力に支えられて来たということ。たとえば、塾になんとなく通う生徒というのは、友達が通っているから通うのだし、通信教育もそう。しかし、それが最近では一気に冷え込んできた気がする。うちはうち、ほかはほかという意識が強まった。
CheNaoto 2013-08-14 07:55:06

そういう中で、これからベンチャーをするなら、切実な需要がある商品、それこそ借金してでも買いたくなるような商品にフォーカスしなければならないと思う。では、どういう商品が人をある意味では狂わせ、ある意味では魅了するんだろう。人々は何を求めているんだろう?
CheNaoto 2013-08-14 07:56:05

たとえば、いままで教育産業は、人々の切実な欲求に必ずしも応えてなかったのではないかという疑問がある。勉強はいつまでたっても、多くの生徒にとって、苦行以外の何者でもなかったし、今だってそうだろう。
CheNaoto 2013-08-14 07:57:26

だからこそ、こんなん意味あるのかしら?ということで成績優秀者層や受験間近の層以外の顧客が、どんどん塾から離れて行っているのだ。
CheNaoto 2013-08-14 07:57:44

人は何を求め、何に魅了され、何に狂うのだろう?
CheNaoto 2013-08-14 07:57:59

たとえば、一つの仮説としては、パチンコやテレクラだろうか。今の教育サービスには、パチンコ的な要素や、テレクラ的な要素というのがなに一つ無い。
CheNaoto 2013-08-14 08:00:28

だから多くの生徒にとって、勉強はつまらないもので、結果として、人々は勉強しなくなり、この国のエリート層の質は低く、国際競争に負けるのではなかろうか。
CheNaoto 2013-08-14 08:00:32

パチンコみたいな教育。テレクラみたいな教育。こういうふうに書くと、なんだかものすごく下品で下劣で議論の余地もなく、そんなことはやめてくれといいたくなりそうだ。でも、少し考えてみていただきたい。いままでの教育が、パチンコやテレクラほどに人を魅了していたかどうかを。
CheNaoto 2013-08-14 08:01:25

たとえば、教科書、参考書、問題集。そこにお客様を楽しませようとする工夫はあっただろうか。わかりやすいかわかりやすくないかというのは、楽しませる前の、いわば最低限しなければならない事だと思う。わかりにくい教材なんて論外だ。しかし、楽しい教材はあるだろうか?
CheNaoto 2013-08-14 08:02:27

たとえば、ファイナルファンタジーをやりながら炎色反応を学ぶとか、戦国無双をやりながら日本史を学ぶとか、そんなことができた、どれほど多くの子供たちが、より高い能力を身につける事ができるだろうか。
CheNaoto 2013-08-14 08:04:01

指導者にしても、それは同じだ。ライブチャットに出て来るお姉さんと同じかそれ以上に教師は魅力ある存在で有り続けているだろうか? もし、たとえばライブチャットとスカイプ家庭教師があったとして、なんの前提条件もなく、どちらを使いたいかと生徒に選ばせた時、前者を選ぶ生徒が多かったら。
CheNaoto 2013-08-14 08:05:15

私はそうであってほしくは無いと思う。これだけゲーム産業・教育産業が成熟しているのだから、どこかで融合してほしい。指導者もそう。これだけ個人がチャットして、癒したり癒されたりするコミュニケーションが発達しているのだから、教育産業もそこから学ぶものはあるはずだ。
CheNaoto 2013-08-14 08:06:30

人々にとって、切実な欲求とは何で、一方で、さほど重要ではない欲求とはなんなのか? なんとなく買っているものは何で、絶対必要なものはなんなのか? 商売人は常々自問自答する必要に迫られている。
CheNaoto 2013-08-14 08:09:33

私はずっと教育畑にいた人間なので、こと教育産業というのはやはり立ち後れた産業だと思う。不動産業界ではもう20年〜10年前に出て来たトレンドが、教育業界では今出ている。それだけ教育産業に掛けるお金が、人々にとって聖域だったのだろう。
CheNaoto 2013-08-14 08:13:56

EC化率も低く、集団指導はようやく半分ぐらいが映像授業になったが、個別指導はスカイプによる個別指導なんてまだまだだ。個別指導市場の1%にも満たない。これからこの市場を1000億〜2000億ぐらいまでにし、そのうち半分を弊社が取るというのが、私たちのビジョンだ。
CheNaoto 2013-08-14 08:15:20

そんな中で、たとえば教育業界で一番「みんなが買ってるから私も買う」つまり"なんとなく買う"比率が高いのは、やはり高校・大学への進学だと思う。
CheNaoto 2013-08-14 08:16:06

はっきりいって、いまある高校・大学なんかに進学したって、ほとんどの高校・大学の教育内容にそれほどの意味があるとは到底思えない。生徒は真剣に話をきこうとはしていないし、教師も真剣に生徒に教えようとはしていない。
CheNaoto 2013-08-14 08:18:10

にもかかわらず、とりあえずみんな行ってるから行こうかというノリで行くのが今の高校であり今の大学だ。なんという時間の無駄、なんというお金の無駄。それがまさに、いまの高校であり大学なのだ。こんなもの、あと数年でその無意味さが衆知のものになり、無くなるのではないかと思っている。
CheNaoto 2013-08-14 08:19:21

というのも、賢い人が子育ての割に合わなさを痛感し、子供を余り産まなくなり、一方でそうでない人がばかすか子供を生む中で、後者はあまりお金が無い訳で、必要の無いお金は出さなくなるのではないかという気がするからだ。
CheNaoto 2013-08-14 08:20:25

雇う側にしても、ああこれ高校にいっても大学に行ってもバカはバカということにさえ気付けば、あまり学歴は意味をなさなくなるだろう。そこから先、しかし学校がなくなっても、教育は必要なわけで、教育産業が人々の切実な欲求にどう応えて行くかが鍵になる。
CheNaoto 2013-08-14 08:21:32
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人々の切実な欲求ってなんなんだろう。お金というのは違う。お金を何と交換したいのかというのが切実な欲求だ。人に認められる事、仲間が居る事、達成する事、楽しい事、気持ちが良い事、だいたいこんなところに集約されるのではないだろうか。
CheNaoto 2013-08-14 08:22:54

だとしたら、これからの高校・大学はどういうふうに変わって行くんだろう。いくつか、これからの高校・大学の姿を考えてみよう。
CheNaoto 2013-08-14 08:24:21

まず、競争原理を取り入れた教育はなくなるでしょう。よく世の中の道理がわからない人、競争社会で勝ってきた人というのは、競争原理を教育に取り入れようというふうな話をしますが、こんなバカな話はありません。
CheNaoto 2013-08-14 08:30:48

競争が気持ちいいのは勝った一部の人だけであって、たいてい負けますから気持ちよくないです。東大にはいっても、上には上がいるし、だから競争に自分の幸せ感の中心を置くと、いつまでたっても幸せになれません。たいてい最後には不幸になるのです。そういう教育はよくない。
CheNaoto 2013-08-14 08:31:28

競争ではなく、一人一人が昨日の自分よりも今日の自分が成長していることに喜びを感じて、自分が得意な事、自分が好きな事を極めて、バカみたいにそれに熱中して、ああ楽しいというのが教育の中心になると思います。ゲームなんて園最たる物だと思う。
CheNaoto 2013-08-14 08:32:44

パチンコみたいな教材、テレクラみたいな先生紹介所、それを私は否定する気はまったくないです。やはり人は楽しくて好きで興味があってのめり込んでいるときに、一番能力を発揮できると思う。怒られたり注意されたりして、それで気持ちがいいのは先生だけでしょう。
CheNaoto 2013-08-14 08:33:44

だから、たとえば英文法なんかも、ソーシャルゲームみたいにして、間違えたらバトルロワイアルみたいに死ぬとかっていうのもいいかもしれない。それも相棒がいて、連帯責任とかっていうふうにすれば、徹底的に間違えないようにやりそうだし、楽しそうな気がする。
CheNaoto 2013-08-14 08:37:40

あと、ゲームはナレーション含めEnglish onlyにして、やってるうちに自然と英語を覚えるというのもいい。別に意味の解説なんかしなくても、人間っていうのは不思議な物で、たとえば漢文の暗唱なんかでもそうなんだけど、全然意味の分からない文章でも、読んでいるうちに分かる。
CheNaoto 2013-08-14 08:38:59

英単語の習得なんかにも、おなじようなゲーミフィケーションが使えそう。たとえば接頭辞・接尾辞・語幹で整理してバトロア形式にするとか、文脈の中での単語の意味を選択させる形式でバトロア形式にするとか、いくらでもアイディアは思いつく。
CheNaoto 2013-08-14 08:43:40

あと、向こうどれぐらいで、いわゆる音声認識がどれだけの精度で出来るかはわからないけど、たとえば発音が悪いと死ぬとか、そういうゲームがあっても面白いかもしれない。なんていうか、そこまでしないとダメだと思うんだよな。教材開発って。
CheNaoto 2013-08-14 08:44:57

あとは、暗唱例文を呪文のようにして進んで行くRPGとかがあっても面白いかもしれない。これも暗唱例文次第だけども、カラオケ採点の技術とかつかってどうにかできなかろうか。これできたら凄い面白いと思うんだよなー。
CheNaoto 2013-08-14 08:45:47

英熟語なんかも苦手な人多いけど、なんで苦手かというと、英熟語というのは、中に入っているそれぞれの英単語の意味と、英熟語全体の意味がどうも結びつかないことが多いからだ。だから、なんかこれもうまくゲーム化できないかなと思う。変身とか、そんな感じのものをつかって。
CheNaoto 2013-08-14 08:49:26

数学なんかはゲーム化するのが難しいけど、計算はスピードしかないし、確率とか場合の数の問題も、文章題をみて、それをどういう数式に落としこむかという判断をまちがえないかどうか。これは本当にソーシャルゲーム化してやるしか無い。それが嫌いな人は、自分でやればいい。
CheNaoto 2013-08-14 08:50:39

ただ、ソーシャルというものを活かして、生徒をモチベートするときに大切なのは、それをあくまでも生々しい競争という文脈の中に置かないで、なんかもっと愛嬌があるコミュニティー形成に役立てることだ。
CheNaoto 2013-08-14 08:51:27

このバランスが本当に難しいのだけど、たとえば一種のギャンブル性をつけて、ぜんぜん勉強できないけど長時間がんばってる生徒が、いきなり短時間で優秀な成績を修めた生徒に逆襲を喰らわせるようなボーナスステージをつくるとか、なにかそういうのが必要だろう。
CheNaoto 2013-08-14 08:52:30

小説文や古文・漢文なんかはストーリーをRPG化するしかない。あと、小説文や古文・漢文読解のポイントは、それぞれの登場人物の感情の変化点と、感情変化時点・原因・解決策なので、これらを把握させるような構成が重要になると思う。
CheNaoto 2013-08-14 08:54:31

論説文はどうすればいいのかなー。これもRPG化しかないんだろうか。レベルが高い勉強をゲーム化するのは案外むずかしいのかもしれない。ただ、基礎ができていない子があまりに多すぎるので、一つのスタートダッシュとして教育のゲーム化は必要不可欠だとは思う。
CheNaoto 2013-08-14 08:55:32

理系でも、炎色反応とかそういう性質を学ぶためのファイナルファンタジーやパズドラみたいなゲームがあればなぁと思うし、歴史や政治経済なんかもRPG化できるだろう。そう考えると教育のゲーム化の可能性はまだまだあるし、それが子供たちの切実な需要とリンクしたものなら、教育の可能性は広がる。
CheNaoto 2013-08-14 08:58:33

多分ここまで、ユーザーの切実なニーズが何で、そこにどう訴求するかっていうことを考えないとダメだと思う。これからの産業は、どんな産業でも。
CheNaoto 2013-08-14 09:05:12

いままで、とくに規制が多い産業(教育、医療)は、作れば売れるという製品開発モデルでどうにかなったかもしれないけれど、これからは顧客のニーズをいかに汲み取るかというモデルで考える事が大事になる。どうしてこんな当たり前の話をしないといけないのだろう。教育産業では。