今日のテーマは「なぜ起業家は1日20時間働けるのか? 〜目標指向と目的指向、競争と自己成長〜」
CheNaoto 2013-08-14 06:08:09
最近、http://t.co/rcj1OJp266ベンチャー企業あるあるにハマった。という記事を読んだ。ざっくり内容を書くと、創業メンバーがハードワークで働いて会社を大きくしたのだけど、新しいメンバーがハードワークになじめず、どうしよっかなーみたいな話である。
CheNaoto 2013-08-14 06:09:10
これに対する返信が、たとえば経営陣とスタッフはリターンが違うんだから、長時間労働を強いるのはかわいそうだという話であったりとか、あるいは管理されている一日10時間労働と管理されていない一日20時間労働は違うという話だったけれども、どれも的外れな指摘に思えた。
CheNaoto 2013-08-14 06:10:26
そこで、自分も大学一年生の時から商売して、もう四年目、いろいろ経験する中で、ベンチャーに限らずチームの中で、メンバーをどうやる気にさせればいいのか、どういうふうに、"個々人で仕事したときには得られない"チームの相乗効果を発揮させればいいのかという問題について、今日は書きます。
CheNaoto 2013-08-14 06:12:06
まず、メンバーのやる気の問題について。ベンチャーの創業期のメンバーと、そのあとのメンバーは誤解されがちだけど、リターンの違いではない。なぜなら、ベンチャーを始めた時に約束したリターンなんてものは有って無いようなものだからだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:14:43
なにか事業を始める時、そこには何も無い。この事に後になって気付く人が多いし、何を隠そう私もそうだったのだけど、本当になにもないのだ。お客様もいなければシステムもなくコンセプトすら固まっておらずマーケティング計画もなく人材もいない。つまり何も無い。
CheNaoto 2013-08-14 06:15:40
そんな何も無い中で約束した、五年後にイグジットの際に得られるリターンなんてものは有って無いようなものだ。もちろん私はメンバーを絶対幸せにするし、投資を受けているので絶対リターンが出るようにするけれど、そんな私の決意だって結果を出す前は絵空事なのだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:16:33
だから、ベンチャーの一番最初の時期に関わる人のモチベーションはたいていお金にはない。お金を稼ぐだけであれば、ベンチャーなんかやるよりいい方法なんて一杯ある。外資系の金融に入るとか、受託をやるとか、学習塾や自己啓発セミナーを手堅く経営するとか、いくらでもやりようはあった。
CheNaoto 2013-08-14 06:18:34
それらの選択肢すべてを私や創業メンバーは知っていて、それらのすべてをやらなかったか手放した。なんでベンチャーなんかやろうとおもったのか、やるのか、やったのか。この話はすこし長くなる。
CheNaoto 2013-08-14 06:19:16
多くの人は、自分の生きている意味はなんだろう?と考えるはずだ。私も高校生の時はよく考えた。私は中学の頃までは、陸上部で、駅伝もしていて、学年で百人ちょっといる学校でも3番目ぐらいには足が早く、勉強も一番いい高校に入り、つまり部活も勉強も出来る子だった。
CheNaoto 2013-08-14 06:21:51
だから、自分はまぁ、足も速いし、勉強もできるし、だから価値があるのだと思っていた。それが高校に入ったら、足は早かったのだけど、ケガをして、部活が出来なくなったので、運動部には入らなかった。さて勉強だと思ったけれど、やり方を間違えてどんどん成績を落とした。
CheNaoto 2013-08-14 06:22:47
ここで私は困ったのだ。運動も勉強もできない。こんな自分には価値が無いと思ってしまう自分がいた。
CheNaoto 2013-08-14 06:25:03
もちろん世の中には優しい人もいて、勉強も部活もできなくても、あなたは生きているだけで素晴らしいという人もいる。あるいは自分に甘い人がいて、お金でも技術でも見た目でもないありのままの自分を愛してほしいという人はいる。
CheNaoto 2013-08-14 06:25:49
けれど自分の性格が歪んでいるのかもしれないけれど、そんなことは絶対に無理だと思う。人間関係というのは、やはり与えて、与えて、与えまくるか、与えた上でもらうかの二つに一つしかなくて、人から愛を奪うことだけを考えるような人生は絶対に嫌だった。
CheNaoto 2013-08-14 06:26:51
しかし、そのときの自分には本当に価値がなかった。なにせ運動も勉強もできないのだ。自分の価値はいったいなんなのだろうと思った。そんなものが無くても愛してもらえるということは、とんでもないウソのように思えてならなかった。
CheNaoto 2013-08-14 06:27:28
そこで私は一つの方便を考えた。それは、いまの自分は運動もできないし、勉強もできないから、生きている価値なんてないかもしれないけれど、そのうち自分はこういうふうに悩んでいる人を助けることができるかもしれない、いやできる。
CheNaoto 2013-08-14 06:28:43
だから、そんな自分の割引現在価値として、今の自分があるんだ。だから今の自分には生きている価値があるんだ。高校生のときの自分は、ずっとそうなことを考えていた。
CheNaoto 2013-08-14 06:29:12
「不登校でも引きこもりでも、日本人じゃなくてもいい。すべての人々に、なりたい自分になれる機会、成功への機会を提供できるような、そんな人になりたい!」 それが私の生きる意味として、明確に固まったのが高校時代だった。あの悩みと劣等感ばかりの時期は、私に使命感を植え付けた。
CheNaoto 2013-08-14 06:30:09
そして、私は大学に入ってすぐ、不登校・引きこもりの子が慶應や早稲田に進学するためのスカイプによる学習塾を始めた。おかげさまで、今年も何人かの教え子様が合格し、私と同じ大学に通うことになった。
CheNaoto 2013-08-14 06:31:17
それだけでは飽き足らず、個別指導のサービスをもっと多くの人に使っていただけるように、料金を月々3000円まで値下げし、24時間365日対応にした。エンジニアや出資者も集まり、先生たちも1000人を越えた。
CheNaoto 2013-08-14 06:33:09
エンジニアや初期の優秀な講師に関しては、やはり同じような目的を共有している人が多い。ほとんどが不登校・引きこもり経験者で、スカイプで自宅からでも指導が受けられればと切実に思った事があるメンバーたちだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:34:05
つまり、ベンチャーの創業期メンバーというのは、将来のキャピタルゲインを得られる可能性などというなんかよくわからないもの、想像すらできないもののために集まっているのではなく、同じ目的を共有しているということだ。それは人生における使命感と言い換えても良いだろう。
CheNaoto 2013-08-14 06:35:00
ここで、大切なのが、"目標"ではなく"目的"だということだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:35:21
なぜ目標が達成できないのか? 目標が達成できない理由はだいたいワンパターンだ。それはその"目標"に対する思い入れが無いからだ。目標に対する思い入れは、何から生まれるのか? それは極めて簡単だ。目標が達成できなければ実現できない理想の世界"目的"があるから、目標への執着が生まれる。
CheNaoto 2013-08-14 06:36:31
"目標"というのは単なる数字。"目的"というのは、こんな世界をつくりたい、こんな人に喜んでほしいという思いだ。思いのない数字は実現できない。思いのある数字は必ず実現できる。だから、思いを、目的を持つことが大事なんだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:37:23
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ここで、ベンチャーの経営者を悩ませるパラドックスがある。「中小零細企業とベンチャーのパラドックス」である。それをすこし紹介しよう。
CheNaoto 2013-08-14 06:37:56
一番最初に紹介した記事のタイトルは「ベンチャーあるあるに陥ってしまった」という記事だったけれども、実は自称ベンチャーの大半はベンチャーではない。ベンチャーというのは革新的なサービスをする会社のことである。
CheNaoto 2013-08-14 06:38:45
たいていの自称ベンチャーは、ベンチャーではない。革新的なサービスをしていない。誰がやっても真面目にやれば同じように儲かる、ある意味でいえばつまらない仕事しかしていないのだ。(もちろん、やる人の心構えで、仕事はおもしろくもなるし、つまらなくもなるとは思うけれども。)
CheNaoto 2013-08-14 06:39:30
だから、たぶん一番最初に紹介した記事の会社はベンチャーではない。ベンチャーというのは、もっと乗るか反るかを追求する革新的な事業をする会社である。派手に儲かるか、まったく儲からないかのどちらかである。
CheNaoto 2013-08-14 06:40:41
革新的な事業をするベンチャーは「目的」をメンバーで共有し、熱狂することは容易い。しかし、事業が革新的であるがゆえに、なかなか理解されないことも多く、残念ながらほとんど儲からないケースも多い。
CheNaoto 2013-08-14 06:41:20
一方、そこそこ誰がやっても儲かる事業をする中小零細企業は、儲かる事は儲かる。当たり前である。儲かる事が分かりきってる仕事なのだから、そもそも儲からないのがおかしいのだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:42:23
しかし、一方で、「これ誰でもできる仕事なのに、なんで自分たちがやっているんだろう? 何の為にやっているんだろう?」という気持ちにもなりやすい。崇高にも思える世界革命のためではなく、オーナー一族に献金するためにやっているような気持ちにもなりやすく、そこに被害者意識が芽生える。
CheNaoto 2013-08-14 06:43:09
これが中小零細企業のマネジメントの難しさなのだと思う。儲かりやすさと、人材の熱狂させやすさというのは、たいていの場合反比例するものなのだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:43:54
たとえばワタミ・光通信とグーグル・フェイスブックを考えてほしい。前者は手固く儲かりそうだが、従業員を熱狂さすのはむずかしそうだ。一方後者は黒字化まで時間がかかりそうだが、従業員は熱狂しそうだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:45:23
だから、ワタミや光通信が似たような同業が一杯ある中で、一流の大企業になったのは、彼らが目標を掲げるだけではなく、従業員が持っているそれぞれの人生の目的にまでフォーカスをして教育をしたからではないかと考えている。
CheNaoto 2013-08-14 06:46:46
やはり、従業員それぞれの人生の目的を知っていて、それにすり合わせるような形でマネジメントをしている経営者というのは人を限界まで動かせるのではないかと思う。
CheNaoto 2013-08-14 06:48:10
結局創業期メンバーだけやる気があり、新しく入った人がやる気がないベンチャー起業あるあるに陥らないためには、目の前の数字の目標なども大事だけれども、それ以上に人生の目的を仲間みんなで共有できる体勢を整えなければ行けないと思っている。
CheNaoto 2013-08-14 06:48:42
ここまでは、新しく入った仲間をどうやる気にさせるかという話だ。数値目標を与えるだけでなく、人生の目的にまで遡って、みんなで同じ人生の目的を共有しようという話だった。たとえば弊社では、不登校の子でもいい大学に行ける世界にしましょうというのがそれだという話。
CheNaoto 2013-08-14 06:51:24
ここから先は、新しく入った仲間のやる気を、どう殺がないようにするかという話だ。モチベーションをマネジメントする一番の秘訣は、モチベーションを与える事・目覚めさせる事と、モチベーションを殺がないことだからだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:52:07
創業期のメンバーはなぜやる気まんまんなのだろうか? 一つの仮説があるとしたら、それは競争がないからではなかろうか?
CheNaoto 2013-08-14 06:52:42
やる気まんまんな理由が、競争がないからだというのはにわかにおかしく聞こえるかもしれない。競争があるからこそ、人はやる気になるのだという人もいるかもしれない。しかし、私はそれはウソだと思う。少なくとも自分は人と競争してやる気が出た事など一度もないからである。
CheNaoto 2013-08-14 06:53:26
創業期メンバーのあいだでは競争がない。これは当たり前のことだ。できたばかりの会社なんてお金もないわけだから、俺営業、お前プログラミング(笑)、お前生徒指導みたいな分業しかできない。それぞれがそれぞれの仕事をがんばるしかない。競争相手なんかいない。
CheNaoto 2013-08-14 06:55:31
だから、やる気が出るのではないかと思う。自分しかやれる人はいないという責任感と、どんどん結果が大きくなって行く楽しさがそこにはある。仮に営業カルチャーの会社で、創業メンバー三人みんな営業みたいな会社でも、焦点は仲間を蹴落とすことじゃなくて会社を大きくする事にあるからやはり幸せだ。
CheNaoto 2013-08-14 06:56:29
しかし、これが例えば会社が少し大きくなって、たとえば営業が十人いるようになったらどうなるだろうか? 会社への帰属意識は創業期のメンバーより少ないだろうし、なんかまわりの成績も気になる。自分が負けてると、なんか落ち込む。どんなに頑張っても勝てない気がする。仕事のやる気がなくなる。
CheNaoto 2013-08-14 06:57:52
私はいままで営業として、いろんなお客さんと接して来たし、大きな会社とも接して来た。そこで学んだ一つの教訓は、競合とか競争相手なんか気にしてもどうしようもないということだ。
CheNaoto 2013-08-14 07:00:00
たとえば、自分のライバルが、東大卒プログラミングも出来るイケメンだったとして、(妙にリアルなのはご愛嬌です)さて、慶應底辺学部在学中プログラミングできない残念な見た目の私が勝てるかどうかというと、これは分からない。勝てない気がする。だから、そこにフォーカスしちゃダメだ。
CheNaoto 2013-08-14 07:00:54
勝負の前に、圧倒されたらもうそこで勝ち負けはだいたい決まっていると思う。だから手強い競争相手と同じ土俵で闘おうとしないことだ。自分なんか結構悩みまくって、すっころびまくった人生を歩んで来たので、そういう高校生の気持ちは誰よりも分かる。だからその強みをどう活かすかだけを考える。
CheNaoto 2013-08-14 07:01:58
もっと言おう。他人のことなんか気にしてもどうしようもない。他人の見た目の営業成果も能力も、自分に変える事はできない。自分は自分がコントロールできることだけを気にかければ良い。
CheNaoto 2013-08-14 07:02:55
だから、たとえば昨日ライバルに勝ったか負けたかを私は気にしない。そんなことじゃなくて、私は昨日の自分に今日の自分が勝てているかどうかだけを気にする。
CheNaoto 2013-08-14 07:03:30
どんなに意志が強い人でも、昨日の自分に勝ち続けている、連戦連勝という人はなかなかいない。だから、昨日の自分に勝ち続けることにさえフォーカスすれば結果として、あらゆる競争相手を打ちのめすこともできる。
CheNaoto 2013-08-14 07:04:38
相手にフォーカスせず、自分にフォーカスすること。持っていないものではなく、持っているものにフォーカスすること。これを仲間にも徹底している。仲間同士で棒グラフで競争みたいな意味の無いこともしない。大切なのは、前日比、前月比、前年比で自分が成長しているかだ。
CheNaoto 2013-08-14 07:05:30
他人との競争にはほとんど意味がないと私は思っている。これは受験指導を経て得た私自身の教訓だ。他人なんか気にせず、自分が弱い自分に勝てているかどうか、大勝利できているかどうか、これだけが全てだと思う。
CheNaoto 2013-08-14 07:06:31
他人との競争には本当に意味がない。生まれも育ちも経験も違う奴と競争してどうするのだ。他人との競争なんていうのは最後に結果をちょろっと見るだけで良い。
CheNaoto 2013-08-14 07:07:42
自分ができることをすべてやり切っていれば、弱い自分、昨日の自分に今日の自分が勝てていれば、ほぼ100%の勝率で他人にも結果として勝てる。
CheNaoto 2013-08-14 07:07:48
ベンチャーが、個々人で仕事した時には得られない相乗効果を得るためには、逆説的ではあるけれども、組織が人々にもたらす悪影響をすべて排除することが必要だと思う。
CheNaoto 2013-08-14 07:09:12
過度な競争がもたらすモチベーションの低下さえ防げば、人々は心豊かにのびのびと働けるようになり、結果、そこに良いコミュニケーションが生まれ、相乗効果だって自然と出るのではないかと思う。今度の夏休みにインターンを二人受け入れるひよっこ経営者の自分だけど、まずはそこに気をつけたい。
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