高校三年生の冬、推薦入試に落ちて迎えたクリスマス
高校三年生の時の私は、高校にはろくに通わず、大人が出るようなイベントに顔を出しては、それだけで満足するような「意識が高い(笑)高校生活」を送っておりました。ついでにいうと、東京に行く長距離バスの待合室でナンパするのが趣味というバカっぷりでした。であるからにして、国語数学理科社会、ついでに英語なんて一切手をつけておりませんでした。入ってから男子校に入った事に気付き、まったく高校生活にやる気がなくなっていたのです。
人生で最悪のクリスマスっていつだったかなと思い出して、ふと高校三年生のときを思い出しました。絶対に受かるとなめきっていた自己推薦入試に落ちてしまったからです。どうしてほぼ不登校でそう思っていたかは謎ですが、とにかく私にとってはショックでした。
今にして思えば、どうしてあの頃は何もしていなかったのにあんなにも自信過剰だったのかと思うのですが(この性格は大学に合格した後もあまり変わりませんでしたが)、なにはともあれ大学に落ちたのですから、どうにかしなければなりません。
「慶應なのに一科目入試!」の存在を知る
推薦入試に落ちたとき、ふと思ったのは「一般入試で慶應に入ろう!」という無謀な決心でした。
私は人生において、だいたいいつも間違った決断ばかりしてきましたが、とくにこの「一般入試で慶應に入ろう!」というのは救いがたいぐらい間違った決断でした。当時の私の苦手科目は英語で、中学生でも間違わないような間違いを平気でやらかすような高校生でした。(三人称単数現在形の-s,-esを抜くとかね!)偏差値はだいたいいつも全教科40ぐらいをうろちょろしているようなありさまでした。
そんな時いろいろな悪さを一緒にしてきた悪い友達からこんな話をされました。
「林さ、お前慶應受かったら塾講師やんなよ、落ちたらホストクラブに就職ね。前者なら中年女性と女子高生口説けるし、後者なら若い子口説けるでしょw」
べつにホストができるぐらいツラがいいわけではなく、むしろどちらかといえば顔面は不自由な方なのですが、ただ単に女の子が好きだっただけなのですが、なにはともあれ、この一言で慶應を受けることを決めました。当時付き合っていた女の子が上智を目指していたり、その前好きだった子が早稲田を目指していたりしたのもひとつのきっかけでした。同じ大学には行きたくなかったので、じゃあ慶應かなと。しかし、慶應は甘くなかった。
甘くはなかった慶應SFCの入試内容
私にホストクラブへ就職を薦めてくれたその友達が言うには、慶應といっても、慶應SFCなるものがあるらしく、そこは英語だけで行けるらしいよという話でした。
なるほど、甘いぜ慶應SFC、おいらの人生は慶應ボーイでバラ色だと思って、さっそく過去問を買いに書店行きました。
さっそく赤本を開いてみると、こんなかんじでした。
こんなんが10ページぐらいつづいてました。死にたくなりました。なんてことだ慶應SFC。そう思って、試しに他の大学の問題を見てみると、同じぐらい訳が分かりませんでした。つまり慶應SFCが難しいとか早稲田が難しいという以前の問題として、私はそもそも大学受験に出て来るような英語の長文が全く読めなかったのです。
三ヶ月で合格を勝ち取るための入試出題傾向分析
英語はまったく読めなかったし、英文の内容も正直よくわかりませんでしたが、ただ早稲田・東大・京大・他私大の問題を見て、ああどうもこれらの大学は慶應SFCとはちがうらしいなということはなんとなく肌感覚で分かりました。
たとえば、京大はなんか文の構造がおぼろげながらでもわからないぞ(特に下線部は)、とか東大はいろんな問題出すもんだなーとか、慶應と他私大だと単語レベルがぜんぜんちがうなーとか、英語を習い立ての中学一年生でも分かるような感想ですが、とりあえず大学によって出題傾向が違うことはわかりました。
特に、東大・早稲田・慶應・旧帝大のような一流大学は、それぞれにDQNネームよろしく入試問題にも相当の個性があることが分かってきました。一方であまり有名ではない大学の入試問題というのは、案外似通っているものなのです。(学習塾業界に入って初めて知りましたが、てきとうな大学だと先生のレベルが低く、入試問題を予備校に作らすところが多いので、結果そうなるようです。)
とりあえず、慶應SFCの問題を見たところ、以下のように分類できることがわかりました。
こうやってみてみると、実質一教科入試のSFCもなかなか舐めたものではありません。後々より詳しく説明しますが、合格するためには結構やることが多いのです。
長文読解四択の傾向分析
まず、長文読解四択についてですが、英単語をとにかく覚えまくることがなによりも大切になります。なぜなら、慶應の入試では、単語が読めなくて文章の意味がわからないということが多いからです。
英文読解については、必要とされる記号の振り方、記号を振るべきポイントが各大学の出題傾向によってかなり違うので、これもディスコースマーカー本などではなく、ちゃんと自分で分析・検証することが大切です。
英文背景知識については、慶應特にSFCの入試で必要不可欠です。元々少ない受験科目であることから、この英文背景知識の中で、たとえば理科的な知識・思考であったり、社会的な知識・思考を試すような高度な背景知識が必要とされる問題が多いからです。必要とまではいわなくても、あったほうが文章の理解が早いというのが、あるいは正解かもしれません。
英文解釈についてはいろいろな本が出ていますが、恐るるに足りません。基礎に戻る、状況を整理する。この二つの事さえできれば問題ないですが、そのためにはどうするかについて書きたいと思います。
英単語対策は、バカでもできる暗唱を極めること!
まず、英単語の対策ですが、三ヶ月で慶應SFCに合格するためには時間がありません。しかし、一方でレベルはそこそこ高い問題を出してきますから、曖昧な理解では心もとないのが現実です。
そこで、英単語は、「リンガメタリカ(長文集)の暗唱」だけで極めてしまうことにします。これだけで1500ぐらいの、慶應SFCに良く出てきそうな単語を習得することができます。だいたい英文部分だけだと50ページぐらいです。
一日三回、週五回、三週間の暗唱。これで四十五回暗唱したことになります。実際は学習障害を持っている子にさせても三十回もあれば暗唱できるのが普通です。コツは、間隔を毎日にし、かならず三週間続ける事です。同じ文の音読を1日で一気に45回やっても効果はありません。頭の中に記憶をいれておいて、毎日毎日三週間引き出すイメージでがんばってください。
たまに五回も読めば、いつでもすぐ暗唱できてしまうという人がいますが、そういう方には、リンガメタリカに近い参考書としてアカデミックや速読速聴シリーズをおすすめします。全10冊です。
英文読解対策は、入試で使われている課題文から逆算すること!
英文読解についてですが、これはディスコースマーカー本とかを買って、接続詞に線をつけて、適当に読み飛ばすような勉強だけは絶対やめてください。
その上で、まず大前提としては、先にも述べたように暗唱を通じて、すべてを精読かつ速読できる英語力を付ける事です。これがまず大前提です。
その上で、そこまでやってもなお、読んだはいいけど内容を左から右に忘れていく、ぱっと問題に解答できないというときに、初めて課題文に記号を付けるということに意味を持つようになります。
まず、入試で使われている課題文をざーっと読んで、使われている接続詞をすべて書き出しましょう。その上で、それぞれの接続詞がどういう意味を持っているかを調べて、グルーピングしていきましょう。
自分なりに分かりやすい分類をつくってみて、記号を作ってみて、それに従って問題を解く時には読み返すのが王道かなと思います。
よく予備校なんかでは、いろいろなテクニックを教えてもらいますが、ああいうのはあくまでもその講師にとって効果的だったその講師が見いだした方法論にすぎず、ろくに反復訓練もしないまま使うと、生兵法はケガの元になるのでお気をつけ下さい。
英文背景知識対策は、出て来るテーマをすべて網羅すること!
次、英文背景知識対策についてですが、これは良く言われるように過去問をひたすら読むことが王道です。過去20年分ぐらいの過去問であれば、ネットオークションや予備校に行けば置いてあるはずなので、ぜひとも用意してみてください。
ただ、漫然と読んで何も整理しないのであれば、それでは足りない。
慶應SFCを受けるのであれば、できれば慶應SFCの英語課題文・京大経済の小論文課題文(英語)・リンガメタリカ・アカデミック・速読速聴あたりはざっと読んで、どういうテーマが出て来てるかぐらいはメモしてグルーピングしてみてください。
私の分析では、2回以上出た事があるポビュラーテーマが15個、1回だけ出て来たテーマが70個ぐらいです。基本的に新規テーマの出題は環境情報の大問第二問以外ではないと見ていいと思います。毎年この70テーマについては教え子様に解説していますが、英語・小論文ともに環境情報以外では、かならず既出分野が出てきました。環境情報はやたら奇抜なテーマを出したがるところがありますが、それでも70個のテーマについてある程度習熟していれば、その応用で理解できることが多いです。
英文解釈対策は、基礎英文法の徹底から始まる!
英文解釈についてですが、これはそもそも基礎英文法ができていることが前提です。仮定法や関係副詞以外はすべて中学校で習っているわけですし、これら二つの例外でさえも、良い指導者であれば中学英文法の延長線上で説明できるわけですから、まずは基礎の英文法を習熟することが大事です。
五文型をしっかり習得した上で、修飾構造には、前から修飾するか、後ろから修飾するか、真ん中に挿入されてるか、並列されているかしかないという当たり前のことを再認識した上で読めば、読めない文章はありません。
英熟語三択の傾向分析
英熟語三択に関してですが、これは苦手な方が多い。
まず、そもそも英熟語って難しい訳です。英単語が二つか三つかあって、それぞれの英単語とぜんぜん違う意味になっている。でも読んでいる時は、少なくとも日本人は、もともとの英単語の意味にひっぱられたりして、よくわからないことになる。そういうこともあり英熟語は難しい訳です。
英熟語対策は、ネイティブの気持ちになって考えること!
解決策としては、ネイティブの気持ちになって考える事です。
どうして、put+up+withで●●という意味なのかを、それぞれの単語の日本語訳から考える。こういう作業を形態素分析というのですが、こういう姿勢が大切です。
あと、慶應SFCに出てきそうな英熟語が一気に対策できるものとしては、英検1級・準1級の過去問があります。あと、体系的に学びたいのであれば、時間があればですが、ネイティブスピーカーの前置詞もおすすめです。
英単語対策は、形態素分析みたいにやろう!
実は、慶應SFCの問題に出て来る英熟語にありがちなことですが、英検1級・準1級の過去問に出て来る英熟語より、やや単語レベルが難しい印象があります。
こと、どうしても見た事がない、難しい単語にあたった時に、とくに辞書が使えないときの対策ですが、語源、つまり接頭辞と接尾辞と語幹からその単語の意味を推測することです。
この感覚をつかむにはカタカナ語源屋というサイトがおすすめです。100のカタカナ語から、2000単語ぐらいをこのやり方で習得することができます。
小論文の傾向分析
さて、いよいよ小論文についてですが、慶應SFCの小論文もなかなかに独特です。まず課題文がめちゃくちゃ多い。課題文だけで20ページぐらいあるときさえあります。まともに読んでいたら時間が間に合いません。
あと、問題意識すら指定されていない事も多い。普通小論文の出題というのは、●●について●●という問題があるので、それについての課題文作者の意見をまとめ、解決する方法を書きなさい、みたいな出題が多いのですが、そういうものがいっさいない。●●について、なにが問題だと思いますか?その原因は何で、解決策はなんですか?というような出題が多い。
有名大学の小論文入試を20年分やってわかったこと!
慶應SFCだけではなく、慶應の全学部の小論文も、京大の経済他文系学部の後期試験(今はなかった気がする……)の過去問も20年分ぐらい全部分析してみていました。
出題方式は慶應SFCと違うことが多いのですが、やはり課題文は選び抜かれていることが多くて、数年前の慶應法学部の問題がそのままSFCで出て来たり、その年の文学部の問題がそのままSFCに出て来たり、慶大プレの問題がそのままということも過去にはあったので、とにかく模試はしっかりうけること、他の学部の問題にも目を通しておくことが大切です。
その上で、やはり小論文についても英語と同じで、2回以上出て来る頻出テーマは15個ぐらい、1回出て来たテーマは70個ぐらいかなと思いました。
重要テーマ15対策は、リンガメタリカだけで十分!
重要な15テーマに関しては、ほとんどリンガメタリカで網羅されています。
なので、リンガメタリカの暗唱をするだけで、十分対応できるものです。だいたいSFCに合格する平均レベルの人はここまでの勉強しかしていないので安心してください。私はもっと勉強していましたが、SFCの合格平均点がだいたい6割ぐらいなのに、自分は8割後半ぐらいの点数を取れていたので、ああ無駄に勉強しすぎたなと思いましたし、大学に入ってからもディスカッションなどするとまわりがバカに思えて仕方がなかった。
こういう状況は、大学に入ってからのことを考えるとあまりよくありません。勉強というのは、やはり周りがレベルが高く思えて、謙虚な姿勢を持って、そこから始めるのが基本だと思います。
小論文で点数を稼ぐなら、この10冊程度の読書は必要不可欠!
そんなこともあり、ちょうどその時母親が乳がんになり、実家の状況も激変したことをきっかけに、私は塾経営を始めました。(今はそれは後輩にゆずって、IT系の会社をしています。)
本当に成績がひどい生徒ばかりが来ました。それこそ10月からの入塾で、偏差値は40しかなく、早稲田の法学部に入った生徒、不登校・引きこもりの生徒がめちゃくちゃ多くて、普通に学校に通っている生徒より人数・合格率ともに高かったぐらいですし、そういう子たちは英語をがっちり対策しても、どうしても点数の伸びに限界がありました。
そういうときに頼みになるのが小論文で、彼らにはきちんと対策してもらうために、リンガメタリカの他、アカデミック・速読速聴シリーズの10冊での対策もお願いしていました。
正しい小論文の書き方は、課題文を分析することでしか分からない!
正しい小論文の書き方についてですが、これは課題文を分析し、どういう論理構造になっているかを習得した上で、それに合わせて書くしか方法はありません。
私が、数多くの入試問題をやって来た上での結論をここに書きますが、かならず自分なりに分析してみた上で自分なりの小論文の型を手に入れてもらえればと思います。
まず、慶應SFCについてですが、入試要項にもあるように、問題発見、問題解決のためのキャンパスですので、これは絶対必要です。ただ、受験生の答案を読んでいて、よく思うのは原因分析の部分が欠けているなという部分です。実はこの原因分析の部分が極めて大事なのですが、それをすっ飛ばして短兵急に問題解決まで行っている答案が非常に多い。その次に多いのは、問題発見ばかり書いてて、原因分析と解決策が全くない答案です。
たとえば、韓国人を差別する人たちが増えてる問題について、ある生徒は、在日韓国人をばっさり韓国に送り返せばいいという答案を書きました。これを原因分析に欠けているし、解決策としても利害関係者の一部に多大な損害を与える形で解決を図っていますから重大な瑕疵があります。
なのでまず、問題発見、原因分析、解決策をかならず書くということは、必要不可欠です。
その上で大切なこととしては、
1.課題文から問題意識を汲み取るパート(最初の25%)
2.自分なりの問題意識をつくって原因を分析し、解決策を提案するパート(途中の50%)
3.解決策を世間一般の人に納得してもらうパート(最後の25%)
の三つで小論文を書く事ではないかと思います。
問題用紙を渡された時点で、まず回答欄を4分割し、この通りに書くのです。
その上で、課題文から問題意識を汲み取るパートに必要なのは、課題文中、もしくは課題文同士の意見の共通点、意見の違い、主な争点、相手方に対するそれぞれの批判と再批判、数値データーの違いとその比較、難しい言葉の言い換えが必要です。ここで必要がない代表的なものとしては具体例があります。具体例を入れると要約がしにくくなるので、基本的に求められていない限りは具体例を入れる必要がありません。
自分なりの問題意識をつくって原因を分析し、解決策を提案するパートでは、時系列になにが起きたのかを整理し、他国との比較もし、未来の予測をし、これから先どんな問題が起こるかを余地し、その原因を"深く!(何度も何度も!)"分析し、その根本的な原因を潰すような解決策を考える。これが大事な要素になります。
ただ、ここまでだとまだ独りよがりな小論文しかできません。解決策を世間一般の人に納得してもらうパートがあって、はじめてその意見が世間一般で通用しうるものになります。利害関係者の一部に負担を強いる形になっていないかを注意し、他の解決策と比較しても妥当であるかどうかを検証してこそ、はじめて意味のある提起になります。
以上が慶應SFCの対策です。90日足らず×20時間だとして、1800時間しかないわけですが、この1800時間で十分できる対策ではないかと思います。三ヶ月足らずで慶應に受かったら儲け物です。がんばりましょう。
高校三年生の時の私は、高校にはろくに通わず、大人が出るようなイベントに顔を出しては、それだけで満足するような「意識が高い(笑)高校生活」を送っておりました。ついでにいうと、東京に行く長距離バスの待合室でナンパするのが趣味というバカっぷりでした。であるからにして、国語数学理科社会、ついでに英語なんて一切手をつけておりませんでした。入ってから男子校に入った事に気付き、まったく高校生活にやる気がなくなっていたのです。
人生で最悪のクリスマスっていつだったかなと思い出して、ふと高校三年生のときを思い出しました。絶対に受かるとなめきっていた自己推薦入試に落ちてしまったからです。どうしてほぼ不登校でそう思っていたかは謎ですが、とにかく私にとってはショックでした。
今にして思えば、どうしてあの頃は何もしていなかったのにあんなにも自信過剰だったのかと思うのですが(この性格は大学に合格した後もあまり変わりませんでしたが)、なにはともあれ大学に落ちたのですから、どうにかしなければなりません。
「慶應なのに一科目入試!」の存在を知る
推薦入試に落ちたとき、ふと思ったのは「一般入試で慶應に入ろう!」という無謀な決心でした。
私は人生において、だいたいいつも間違った決断ばかりしてきましたが、とくにこの「一般入試で慶應に入ろう!」というのは救いがたいぐらい間違った決断でした。当時の私の苦手科目は英語で、中学生でも間違わないような間違いを平気でやらかすような高校生でした。(三人称単数現在形の-s,-esを抜くとかね!)偏差値はだいたいいつも全教科40ぐらいをうろちょろしているようなありさまでした。
そんな時いろいろな悪さを一緒にしてきた悪い友達からこんな話をされました。
「林さ、お前慶應受かったら塾講師やんなよ、落ちたらホストクラブに就職ね。前者なら中年女性と女子高生口説けるし、後者なら若い子口説けるでしょw」
べつにホストができるぐらいツラがいいわけではなく、むしろどちらかといえば顔面は不自由な方なのですが、ただ単に女の子が好きだっただけなのですが、なにはともあれ、この一言で慶應を受けることを決めました。当時付き合っていた女の子が上智を目指していたり、その前好きだった子が早稲田を目指していたりしたのもひとつのきっかけでした。同じ大学には行きたくなかったので、じゃあ慶應かなと。しかし、慶應は甘くなかった。
甘くはなかった慶應SFCの入試内容
私にホストクラブへ就職を薦めてくれたその友達が言うには、慶應といっても、慶應SFCなるものがあるらしく、そこは英語だけで行けるらしいよという話でした。
なるほど、甘いぜ慶應SFC、おいらの人生は慶應ボーイでバラ色だと思って、さっそく過去問を買いに書店行きました。
さっそく赤本を開いてみると、こんなかんじでした。
こんなんが10ページぐらいつづいてました。死にたくなりました。なんてことだ慶應SFC。そう思って、試しに他の大学の問題を見てみると、同じぐらい訳が分かりませんでした。つまり慶應SFCが難しいとか早稲田が難しいという以前の問題として、私はそもそも大学受験に出て来るような英語の長文が全く読めなかったのです。
三ヶ月で合格を勝ち取るための入試出題傾向分析
英語はまったく読めなかったし、英文の内容も正直よくわかりませんでしたが、ただ早稲田・東大・京大・他私大の問題を見て、ああどうもこれらの大学は慶應SFCとはちがうらしいなということはなんとなく肌感覚で分かりました。
たとえば、京大はなんか文の構造がおぼろげながらでもわからないぞ(特に下線部は)、とか東大はいろんな問題出すもんだなーとか、慶應と他私大だと単語レベルがぜんぜんちがうなーとか、英語を習い立ての中学一年生でも分かるような感想ですが、とりあえず大学によって出題傾向が違うことはわかりました。
特に、東大・早稲田・慶應・旧帝大のような一流大学は、それぞれにDQNネームよろしく入試問題にも相当の個性があることが分かってきました。一方であまり有名ではない大学の入試問題というのは、案外似通っているものなのです。(学習塾業界に入って初めて知りましたが、てきとうな大学だと先生のレベルが低く、入試問題を予備校に作らすところが多いので、結果そうなるようです。)
とりあえず、慶應SFCの問題を見たところ、以下のように分類できることがわかりました。
こうやってみてみると、実質一教科入試のSFCもなかなか舐めたものではありません。後々より詳しく説明しますが、合格するためには結構やることが多いのです。
長文読解四択の傾向分析
まず、長文読解四択についてですが、英単語をとにかく覚えまくることがなによりも大切になります。なぜなら、慶應の入試では、単語が読めなくて文章の意味がわからないということが多いからです。
英文読解については、必要とされる記号の振り方、記号を振るべきポイントが各大学の出題傾向によってかなり違うので、これもディスコースマーカー本などではなく、ちゃんと自分で分析・検証することが大切です。
英文背景知識については、慶應特にSFCの入試で必要不可欠です。元々少ない受験科目であることから、この英文背景知識の中で、たとえば理科的な知識・思考であったり、社会的な知識・思考を試すような高度な背景知識が必要とされる問題が多いからです。必要とまではいわなくても、あったほうが文章の理解が早いというのが、あるいは正解かもしれません。
英文解釈についてはいろいろな本が出ていますが、恐るるに足りません。基礎に戻る、状況を整理する。この二つの事さえできれば問題ないですが、そのためにはどうするかについて書きたいと思います。
英単語対策は、バカでもできる暗唱を極めること!
まず、英単語の対策ですが、三ヶ月で慶應SFCに合格するためには時間がありません。しかし、一方でレベルはそこそこ高い問題を出してきますから、曖昧な理解では心もとないのが現実です。
そこで、英単語は、「リンガメタリカ(長文集)の暗唱」だけで極めてしまうことにします。これだけで1500ぐらいの、慶應SFCに良く出てきそうな単語を習得することができます。だいたい英文部分だけだと50ページぐらいです。
一日三回、週五回、三週間の暗唱。これで四十五回暗唱したことになります。実際は学習障害を持っている子にさせても三十回もあれば暗唱できるのが普通です。コツは、間隔を毎日にし、かならず三週間続ける事です。同じ文の音読を1日で一気に45回やっても効果はありません。頭の中に記憶をいれておいて、毎日毎日三週間引き出すイメージでがんばってください。
たまに五回も読めば、いつでもすぐ暗唱できてしまうという人がいますが、そういう方には、リンガメタリカに近い参考書としてアカデミックや速読速聴シリーズをおすすめします。全10冊です。
英文読解対策は、入試で使われている課題文から逆算すること!
英文読解についてですが、これはディスコースマーカー本とかを買って、接続詞に線をつけて、適当に読み飛ばすような勉強だけは絶対やめてください。
その上で、まず大前提としては、先にも述べたように暗唱を通じて、すべてを精読かつ速読できる英語力を付ける事です。これがまず大前提です。
その上で、そこまでやってもなお、読んだはいいけど内容を左から右に忘れていく、ぱっと問題に解答できないというときに、初めて課題文に記号を付けるということに意味を持つようになります。
まず、入試で使われている課題文をざーっと読んで、使われている接続詞をすべて書き出しましょう。その上で、それぞれの接続詞がどういう意味を持っているかを調べて、グルーピングしていきましょう。
自分なりに分かりやすい分類をつくってみて、記号を作ってみて、それに従って問題を解く時には読み返すのが王道かなと思います。
よく予備校なんかでは、いろいろなテクニックを教えてもらいますが、ああいうのはあくまでもその講師にとって効果的だったその講師が見いだした方法論にすぎず、ろくに反復訓練もしないまま使うと、生兵法はケガの元になるのでお気をつけ下さい。
英文背景知識対策は、出て来るテーマをすべて網羅すること!
次、英文背景知識対策についてですが、これは良く言われるように過去問をひたすら読むことが王道です。過去20年分ぐらいの過去問であれば、ネットオークションや予備校に行けば置いてあるはずなので、ぜひとも用意してみてください。
ただ、漫然と読んで何も整理しないのであれば、それでは足りない。
慶應SFCを受けるのであれば、できれば慶應SFCの英語課題文・京大経済の小論文課題文(英語)・リンガメタリカ・アカデミック・速読速聴あたりはざっと読んで、どういうテーマが出て来てるかぐらいはメモしてグルーピングしてみてください。
私の分析では、2回以上出た事があるポビュラーテーマが15個、1回だけ出て来たテーマが70個ぐらいです。基本的に新規テーマの出題は環境情報の大問第二問以外ではないと見ていいと思います。毎年この70テーマについては教え子様に解説していますが、英語・小論文ともに環境情報以外では、かならず既出分野が出てきました。環境情報はやたら奇抜なテーマを出したがるところがありますが、それでも70個のテーマについてある程度習熟していれば、その応用で理解できることが多いです。
英文解釈対策は、基礎英文法の徹底から始まる!
英文解釈についてですが、これはそもそも基礎英文法ができていることが前提です。仮定法や関係副詞以外はすべて中学校で習っているわけですし、これら二つの例外でさえも、良い指導者であれば中学英文法の延長線上で説明できるわけですから、まずは基礎の英文法を習熟することが大事です。
五文型をしっかり習得した上で、修飾構造には、前から修飾するか、後ろから修飾するか、真ん中に挿入されてるか、並列されているかしかないという当たり前のことを再認識した上で読めば、読めない文章はありません。
英熟語三択の傾向分析
英熟語三択に関してですが、これは苦手な方が多い。
まず、そもそも英熟語って難しい訳です。英単語が二つか三つかあって、それぞれの英単語とぜんぜん違う意味になっている。でも読んでいる時は、少なくとも日本人は、もともとの英単語の意味にひっぱられたりして、よくわからないことになる。そういうこともあり英熟語は難しい訳です。
英熟語対策は、ネイティブの気持ちになって考えること!
解決策としては、ネイティブの気持ちになって考える事です。
どうして、put+up+withで●●という意味なのかを、それぞれの単語の日本語訳から考える。こういう作業を形態素分析というのですが、こういう姿勢が大切です。
あと、慶應SFCに出てきそうな英熟語が一気に対策できるものとしては、英検1級・準1級の過去問があります。あと、体系的に学びたいのであれば、時間があればですが、ネイティブスピーカーの前置詞もおすすめです。
英単語対策は、形態素分析みたいにやろう!
実は、慶應SFCの問題に出て来る英熟語にありがちなことですが、英検1級・準1級の過去問に出て来る英熟語より、やや単語レベルが難しい印象があります。
こと、どうしても見た事がない、難しい単語にあたった時に、とくに辞書が使えないときの対策ですが、語源、つまり接頭辞と接尾辞と語幹からその単語の意味を推測することです。
この感覚をつかむにはカタカナ語源屋というサイトがおすすめです。100のカタカナ語から、2000単語ぐらいをこのやり方で習得することができます。
小論文の傾向分析
さて、いよいよ小論文についてですが、慶應SFCの小論文もなかなかに独特です。まず課題文がめちゃくちゃ多い。課題文だけで20ページぐらいあるときさえあります。まともに読んでいたら時間が間に合いません。
あと、問題意識すら指定されていない事も多い。普通小論文の出題というのは、●●について●●という問題があるので、それについての課題文作者の意見をまとめ、解決する方法を書きなさい、みたいな出題が多いのですが、そういうものがいっさいない。●●について、なにが問題だと思いますか?その原因は何で、解決策はなんですか?というような出題が多い。
有名大学の小論文入試を20年分やってわかったこと!
慶應SFCだけではなく、慶應の全学部の小論文も、京大の経済他文系学部の後期試験(今はなかった気がする……)の過去問も20年分ぐらい全部分析してみていました。
出題方式は慶應SFCと違うことが多いのですが、やはり課題文は選び抜かれていることが多くて、数年前の慶應法学部の問題がそのままSFCで出て来たり、その年の文学部の問題がそのままSFCに出て来たり、慶大プレの問題がそのままということも過去にはあったので、とにかく模試はしっかりうけること、他の学部の問題にも目を通しておくことが大切です。
その上で、やはり小論文についても英語と同じで、2回以上出て来る頻出テーマは15個ぐらい、1回出て来たテーマは70個ぐらいかなと思いました。
重要テーマ15対策は、リンガメタリカだけで十分!
重要な15テーマに関しては、ほとんどリンガメタリカで網羅されています。
なので、リンガメタリカの暗唱をするだけで、十分対応できるものです。だいたいSFCに合格する平均レベルの人はここまでの勉強しかしていないので安心してください。私はもっと勉強していましたが、SFCの合格平均点がだいたい6割ぐらいなのに、自分は8割後半ぐらいの点数を取れていたので、ああ無駄に勉強しすぎたなと思いましたし、大学に入ってからもディスカッションなどするとまわりがバカに思えて仕方がなかった。
こういう状況は、大学に入ってからのことを考えるとあまりよくありません。勉強というのは、やはり周りがレベルが高く思えて、謙虚な姿勢を持って、そこから始めるのが基本だと思います。
小論文で点数を稼ぐなら、この10冊程度の読書は必要不可欠!
そんなこともあり、ちょうどその時母親が乳がんになり、実家の状況も激変したことをきっかけに、私は塾経営を始めました。(今はそれは後輩にゆずって、IT系の会社をしています。)
本当に成績がひどい生徒ばかりが来ました。それこそ10月からの入塾で、偏差値は40しかなく、早稲田の法学部に入った生徒、不登校・引きこもりの生徒がめちゃくちゃ多くて、普通に学校に通っている生徒より人数・合格率ともに高かったぐらいですし、そういう子たちは英語をがっちり対策しても、どうしても点数の伸びに限界がありました。
そういうときに頼みになるのが小論文で、彼らにはきちんと対策してもらうために、リンガメタリカの他、アカデミック・速読速聴シリーズの10冊での対策もお願いしていました。
正しい小論文の書き方は、課題文を分析することでしか分からない!
正しい小論文の書き方についてですが、これは課題文を分析し、どういう論理構造になっているかを習得した上で、それに合わせて書くしか方法はありません。
私が、数多くの入試問題をやって来た上での結論をここに書きますが、かならず自分なりに分析してみた上で自分なりの小論文の型を手に入れてもらえればと思います。
まず、慶應SFCについてですが、入試要項にもあるように、問題発見、問題解決のためのキャンパスですので、これは絶対必要です。ただ、受験生の答案を読んでいて、よく思うのは原因分析の部分が欠けているなという部分です。実はこの原因分析の部分が極めて大事なのですが、それをすっ飛ばして短兵急に問題解決まで行っている答案が非常に多い。その次に多いのは、問題発見ばかり書いてて、原因分析と解決策が全くない答案です。
たとえば、韓国人を差別する人たちが増えてる問題について、ある生徒は、在日韓国人をばっさり韓国に送り返せばいいという答案を書きました。これを原因分析に欠けているし、解決策としても利害関係者の一部に多大な損害を与える形で解決を図っていますから重大な瑕疵があります。
なのでまず、問題発見、原因分析、解決策をかならず書くということは、必要不可欠です。
その上で大切なこととしては、
1.課題文から問題意識を汲み取るパート(最初の25%)
2.自分なりの問題意識をつくって原因を分析し、解決策を提案するパート(途中の50%)
3.解決策を世間一般の人に納得してもらうパート(最後の25%)
の三つで小論文を書く事ではないかと思います。
問題用紙を渡された時点で、まず回答欄を4分割し、この通りに書くのです。
その上で、課題文から問題意識を汲み取るパートに必要なのは、課題文中、もしくは課題文同士の意見の共通点、意見の違い、主な争点、相手方に対するそれぞれの批判と再批判、数値データーの違いとその比較、難しい言葉の言い換えが必要です。ここで必要がない代表的なものとしては具体例があります。具体例を入れると要約がしにくくなるので、基本的に求められていない限りは具体例を入れる必要がありません。
自分なりの問題意識をつくって原因を分析し、解決策を提案するパートでは、時系列になにが起きたのかを整理し、他国との比較もし、未来の予測をし、これから先どんな問題が起こるかを余地し、その原因を"深く!(何度も何度も!)"分析し、その根本的な原因を潰すような解決策を考える。これが大事な要素になります。
ただ、ここまでだとまだ独りよがりな小論文しかできません。解決策を世間一般の人に納得してもらうパートがあって、はじめてその意見が世間一般で通用しうるものになります。利害関係者の一部に負担を強いる形になっていないかを注意し、他の解決策と比較しても妥当であるかどうかを検証してこそ、はじめて意味のある提起になります。
以上が慶應SFCの対策です。90日足らず×20時間だとして、1800時間しかないわけですが、この1800時間で十分できる対策ではないかと思います。三ヶ月足らずで慶應に受かったら儲け物です。がんばりましょう。
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