▽ 劣等生
わたしはほんとうにどうしようもない劣等生でした。元引きこもり。成績は学年で313/320位。偏差値は40から50ぐらい。そこから、慶應SFCに合格しました。
人はいいます。地頭がよかったのだと。しかし、私はIQなんて90しかありません。地頭がよかったわけではないのです。方法論が良かった。だからこそ、私は合格できた。
方法論次第で、人は変われる。人生は変わる。
私は、そのことをみなさんに伝えたいのです。この本はそのための本です。
▽ 方法論の良さ
巷には、受験勉強本があふれかえってきます。スケジュール管理の本や、どの参考書を使えばいいのかという内容が主なです。
しかし、私には、どれも不十分なものに思えます。
それは、これらの本が、もっとも大切な「どうやって覚えるか」という部分についてほとんど何も書いてないからです。最終的には、根性で覚えろとか、丸暗記しろとか、そういった内容に落ち着くことがほとんどです。
そのことに我慢がならなかった。
ではここで、なぜ勉強がつまらないのか? どうしていい大学に行きたいのにあなたは勉強しないのか? あるいは勉強しても成果が成績に現れないのか? という話をしたいと思います。一番気になっているでしょうから。
その答えはあなたが使っている多くの参考書や授業は工夫のない単純暗記をするからです。ゴリゴリ暗記、丸暗記といわれるような勉強法です。
私が提案する勉強法は違います。
ひとつの知識から芋づる式に多くの知識を習得する。それが私の勉強法です。
多くの知識を習得するときにも、身近な生活での話題と絡めて、楽しく、そして日々の生活に役に立つように学習する。なるべく覚えることを少なくして、一つの事柄から多くの事柄を習得できるようにする。
このことを意識すれば、勉強はかならず楽しいものになります。
ですから、この本ではまず大量の単純暗記をなるべく排します。覚えることを必要最小限にし、あとの知識は芋づる式に習得できるようにすることを方法論の軸とします。
▽ 科学的な勉強法
さて、「どうやって覚えるか」ということについて、最新の認知心理学・認知言語学・大脳生理学の知見は、多くのことを明らかにしています。
たとえば、
○ 一日一時間半年で英論説文300枚暗誦する方法!
○ 中学一年生レベル255単語から10日で早慶合格レベル6000単語を習得する方法! (+小学生でも知っているカタカナ語100から、センター一千単語を習得する方法!)
○ 早慶合格レベル1000熟語を一週間で習得する方法!
最新の研究は、こんな不可能に思えることをも可能にします。
これらを実現するための方法は、どれも形態素分析や、フレーム意味論、概念構築の理論によるもので、科学的に、多くの人に効果があることを実証されているものです。今までの気合と根性の受験勉強法とは、そういった意味で一線を画しています。
従来の気合と根性と地頭に依存した勉強法ではなく、
一、なるべく覚える量を少なく
二、なるべく覚えやすい方法で
三、なるべく覚えるのに時間と労力がかからない方法で
効率的に東大早慶に入れる方法をここでは書きたいと思います。
(東大や早稲田に関しては私が実際に合格したわけではないので、理一の柳本くんや東大大学院の長谷川先輩に意見を伺いました。他の東大早慶の在学生の方もご意見がございましたらぜひ、受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)のアドレスに連絡していただければ幸いです。)
また、地頭に関係なく効果がある方法のみを取り上げます。
サピア・ウォーフ仮説という言語学の理論(およびその検証結果)によれば、数学においては十進法で数をカウントする民族と六進法で数をカウントする民族のあいだには数学的能力に有意差があるそうです。しかし、言語に関してはそのような差はないそうです。たとえば、黒と白しか知らない民族に緑と赤の絵の具を見せても、その違いを区別することはできる、といったように。
また、ノーム・チョムスキー博士の最新の研究によれば、人間の頭の中には生まれながらにして、普遍文法とよばれるものがあり、人は生まれながらにして文法を知っているのだそうです。
にもかかわらず、民族間によって使う言語が異なるのは、周囲の言語に応じて、生まれながらに持っている文法の知識を変化させて、その言語に応じて自由自在に感情表現・意思疎通できるようにするためだといわれています。
このことから分かることは二つあります。
第一に、英語にせよ国語にせよ、そこから学ぶことのできる社会科にせよ、基本的にこれらは地頭の問われる教科ではないということです。
第二に、人間は外国語を習得するときに、一度ある程度の文法に関する情報をあたえてしまえば、後はひとりでに外国語がうまくなっていくものなのだということです。
そういう意味でも、
① 語源(接頭辞・語幹・接尾辞)まて遡って210の中学レベル単語から派生した5000もの早慶レベルの単語を習得させ
② 教え子さんの大好きな洋楽の歌詞などを活かしながら40~100の例文をまずは暗誦させてしまい
② あとは300枚の英語論説文を暗誦できるようになるまで音読させる
という私のやりかたには、絶対の自信を持っています。
こんなことはムリだと思われるかもしれませんが、誰にでもできることです。それこそ、be動詞すら分からなかった私の教え子たちでも半年足らずで①~③まで出来るようになりました。
そんな経験からも、今回、この本では、まず英語・国語・小論文など短期間で多くの点数を稼ぎやすい科目に多くのページ数を割くことにしました。
もちろんいうまでもないことですが、ムダな参考書は使いませんから、費用は限りなく無料に近いものです。学校で配られるものだけで実行できるように工夫したため、やろうと思えば完全無料で東大早慶合格を勝ち取ることもできます。
そう、この勉強法は、だれにでも、どこででも、どんな境遇でも実行可能な勉強法なのです。
この本は、参考書あさり・予備校めぐりをせずに、学校から配布される問題集・参考書とインターネット上のリソース(無料の動画授業・アプリなど……)のみを用いて、東大早慶あるいはそれに類する大学にあなたを入学させることを目的として書かれた本です。
使う参考書はそれぞれの科目のそれぞれの分野ごとに一冊だけです。
受験勉強法の本によく書かれている「一冊を完璧に!」を私も大切にします。このことは、他の受験勉強法の本や、逆転合格を売りにした塾でもよく言われることですが、それと同時に実際にこの言葉を守りきれている人は講師の中にも教え子の中にもほとんどいません。利益を追求する予備校や塾ではなおさらです。
もちろん、逆転合格系の塾でも一冊を完璧にを標榜する塾が多いことは事実です。しかし、実際には、一冊を完璧にしないままに、(あるいは一瞬、確認テストのときだけ完璧にしても、生徒はテストが終わればすぐ忘れることをまったく考慮に入れずに)、たくさんの参考書を使う逆転合格系の塾が多いのも事実です。ほとんどの塾がそうです。そんな中で、使う参考書を各分野一冊絞っているのは私の教え子ぐらいではないかと思います。
これにより、確認テストのときだけの「わかったふり」を防ぎ、いつまでも、完璧にした一冊の記憶を持続させ、最高の状態で入試に臨むことができるのです。
あなたはこの本のとおりに勉強すれば、どんなひどい状況からでも、\0で東大早慶あるいはそれに類する大学に合格することができます。
ウソだと思うかもしれないけれど、本当です。
私は、まったくお金をかけずに、あなたを東大早慶に合格させます。
0-2.まさかの不登校。
そうした勉強法に触れる前に、ちょっとだけ私の話をさせてください。この話を読めば、きっとこんな人にでも実行できた勉強法なのだから、私にだって出来るはずだと自信がわいてくるはずですから。
▽ がんばっても上がらない
まず受験生時代、私がもっとも困っていたのは、「がんばっている(つもり)でも成績があがらない」ことでした。勉強はしていた「つもり」だったのですが、本当に悲しくなるぐらい成績があがらなかったのです。
▽ 中学レベルの勉強法
いまにしておもえば、その原因は中学レベルの勉強法にありました。
中学校の勉強というのは、書きなぐりであったり、ノートまとめであったり。そういった非効率な方法でもどうにかいい成績が取れるのです。覚える内容そのものが少ないですから、こういったやり方でも、何度も何度も反復できる。
そして、これが大切なことですが、参考書自体も少ないので、一冊を何度も何度もやりこむことによって完璧にできる。
しかし、高校の勉強は違います。参考書もたくさんあり、ついついあれもこれもと買ってしまいます。書きなぐりやノートまとめでは追いつかないぐらいの量があります。何度も何度も反復することは出来ません。一冊を完璧にすることはできません。どんどんどんどん周りからは置いていかれます。
これが、高校生が受験勉強において陥りがちなもっともありがちな失敗です。大切なことは一冊を完璧にすることなのです。
さて、結果として、私は落ちこぼれ高校生にありがちな「どんなに頑張っても報われない努力の日々」に嫌気が差して、学校に行かなくなりました。まさかの不登校です。
0-3.まさかの不眠症、そして引きこもり。
▽ 不眠症
学校に行かなくなった直接の原因は、どうにも眠れなくなってしまったことです。夜寝ようとします。眠れません。どうにかして眠ろうと思うのですが、そんなことを考えているうちに朝が明けてしまいます。
こんなことの繰り返しで、次第に精神的にも不安定になってきて、微熱や下痢がずっと続くようになりました。
▽ 音楽が聞けない
次の異変は、音楽が聴けないことにありました。
私は、ラルクアンシエルやニルバーナが好きで、毎日のように聴いていたのですが、どうにもうるさくて我慢ができない。寝ていないこともあって、イライラしていたのでしょうか。わけのわからない怒りみたいなものが、ぐわぁと沸いてきて抑えられないのです。
▽ 食事の味がしない
また、食事をしていても、食事の味が分かりません。
ごはんをたべていても、お米は糊を食べているような気持ち悪さを感じながら噛まなくてはならないし、味噌汁など生暖かい水を飲むようなものです。
これには本当にかなしくなりました。これからの人生で、何かおいしいものをたべたりとか、きれいな女の子とあそんだりとか、おしゃれな服を着たりとか、そんなことはもうできないのかと。そういったあたりまえの、ささやかなしあわせがいかにかけがえのないものであるかを私はまざまざと感じました。
▽ 本が読めない
これはわかってもらえないかもしれませんが、こうして本を書いていて思い出したことがひとつあります。それは、私はこんな本ですら、ろくに読めなくなるぐらいまで体調が悪化していたということです。
文章を読んでいると、それぞれの単語がばらばらになるような感じがします。一行の文章を読んでいるのに、どこからか裂け目ができるようにして、一行の文章が二行にも三行にも見えてきます。
そんな中では勉強もおぼつきません。
一日中、ベッドの中で布団に包まりながら、NHKの高校講座などを見ると、本当に生きているのがいやになってくる。そんな毎日を三ヶ月ほどすごしていました。あれは、本当につらかった。
▽ 病院通いととてつもない挫折感
私の挫折感みたいなものを、より濃くしたのは、病院通いでした。学校に行く高校生たちを尻目に、人には見られないように実家から一時間もかかる病院にタクシーで行き、睡眠薬をもらう。これだけのことが私にはものすごく堪えました。
周りの患者さんは、なんだかうなだれたような、気力がないような、そんな感じの表情をしています。しかし、外に出れば、楽しそうな高校生や大学生の姿が見て取れます。私は絶対に知り合いには見つからないようにやりすごさなければなりませんでした。
私の通っていた高校は、地元ではそこそこ名前の知れた中途半端な進学校でした。ですから、きっとエリート意識みたいなものもあったのでしょう。自分がレールから外れてしまった、もはやまともな人間であることすらできない。こんなことを考え続けては、悲観に暮れる日々でした。
▽ 世界から見捨てられた気分
この気分はきっと、こうした経験をしたことがある人でなければわからないでしょう。人にわかってほしいとすら思いません。こうして本を書いているのは、こんな自分でもどうにかなったのだから、あなたにも希望を捨てずに頑張って欲しいという励ましの気持ちから来るものです。自分の悲惨な境遇を理解して欲しいとはまったく思っていません。
世界から見捨てられた気分。
まさしく、それが不登校・不眠症・引きこもり時代の偽りない自分の気持ちでした。もう自分は、この世界ではまともに生きていけないと思っていました。
事実、不登校の高校生が、大学に進学する確率は、ボーダーフリーのFランク大学をふくめても一割に満たないといわれています。そんななかで私は慶應SFCに入学することができたのですから、やはりこの経験は世の中に残さなくてはと思います。
▽ 勝ち組と負け組
わたしがこうした経験から学んだことを一言に集約すれば、結局のところ、世の中というのは、勝者が正義で敗者が悪であるということです。どれほど勉強して努力していても、それが結果に結びつかなければ、だれも評価してくれません。こういう話をすると、自分の心の中での満足感や自信が得られれば良いという人もいます。しかし、人は周りから非難された上に、自分の体調さえ芳しくないときに、満足感を感じられるほどには強くありません。
勝つことこそすべて、なのです。
0-5.まさかの赤点続出。
▽ 復帰時の成績
さて、どうにかして、学校に戻ったのですが、そのときの成績はひどいものでした。
いまでも、はっきり覚えているのは、数学のテストで、五点をいただいたことです。学年での順位は、313/320位。
他の教科でも、赤点をとらないほうが珍しいぐらいの惨状です。
0-6.まさかの転機。
▽ 自習室にひきこもった二年生の夏休み
さすがにこの成績はまずいということで、私は自習室にひきこもることにしました。▽ まったく上がらない成績
さて、私はさくさく勉強をすすめてまいりました。
勘で現代文を解き、助動詞と単語と主語と対象語と敬語を無視して古文を読み、書き下しもできないうちに字の雰囲気で漢文の意味を類推し、作文のように小論文を書き、数学の答えをがんばって写し、英語の文法書は丸写ししたうえで、ろくに文法の問題集もやらず、DUOとターゲットと速読英単語を最初の一ページだけ完璧にし、文章は丁寧に後ろから前に読むようにして解釈をし、独特の日本語訳を書く技術を習得した上で、理科と社会においては、がりがりと覚えたい内容を二十回書くということをしておりました。
このすばらしい奇跡の勉強法で成績が上がったら……まぁ、奇跡ですよね。
しかし、心当たりがある人も多いのではないでしょうか?
▽ 東北大医学部の先輩
そんなときに知り合ったのが東北大医学部の先輩でした。
私の勉強しても、成績が上がらないことに、見るに見かねたのでしょう。先輩から教えていただいた、とっておきの記憶法が私の人生を変えました。
▽ 記憶を定着させるには
多くの人が、覚えることに困難を感じるのは英単語です。
ですから、まずは、英単語の覚え方から先輩は話を始めました。
「英単語を覚えるときに、意味を一対一対応で覚えようとする人がいるだろ? でも、それは効率がわるい。それよりなら、『速読英単語』を一冊丸暗記したほうがいい」
「そんなことできるんですか?」
「できる。誰でもできる。地頭に関係なく」
「どんなふうにやるんですか?」
「まず、一週間目は一章だけやる。文章の解釈もノートにまとめてね。二週間目は一章と二章、三週間目は一章から三章、四週間目は二章から四章、五週間目は三章から五章、というふうに、ひとつずつずらしていく」
「どれぐらいやればいいんですか?」
「一日三回、週五回、三週間。合計四十五回。これだけでいい。かかる時間は一日に一時間もかからない。記憶効率からいって、寝る前にやるといい」
その話をうかがったとき、そういえば、と私はおもいだしました。
それは学習障害を持つ中学校時代の友人が、三十回の音読を経て、暗誦に成功したことです。これはなるほど、いい方法だと思ったのですが、多くの受験生がそうであるように、どこか半信半疑ですぐに実行することはできませんでした。
▽ スピードについていくには
さて入試も直前に迫り、とうとう速読英単語をCDを聞きながら追うようにして読むのですが、困ったことがありました。それは、音声CDのスピードがあまりに速すぎて、うまく合わせられないということです。
この問題を解決するために、以下のようなステップを取りました。
一、英文と日本文に対応する番号を振る。
二、意味のまとまりで文章を区切る
三、分からない単語の上に日本語訳を書く
四、文構造がわからなければノートにまとめる
五、わからなくても最初の単語だけ発音してみる
六、だんだん単語を増やしてみる
七、最終的にすべて読めるようにする
もちろん、本当はもっと細かいステップがあるのですが、それは個々人によって違うので、詳しくは受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければお答えします。
▽ 私が本格的に受験勉強を始めたのは三年生の冬休みからでした
しかし、みのもんたがココアを勧めても、飲み続ける人が少ないように、私もすぐにこうした方法を実行に移したわけではありませんでした。
まず、そもそもこれは地頭を必要とする勉強法なのではないかという疑念がありましたし、実際前述したように、実行する上でのボトルネックもあったので、なかなかうまくいかなかったのです。
いろいろとムダな勉強をした末に、とりあえず三年生の最後の冬休みの二週間でどうにか単語の意味が理解できる程度にまで単語集を仕上げました。つまり、私が本格的に受験勉強を始めたのは三年生の冬休みからでした。そして、そのまま受験に突入したのです。
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