1-2-1.【現代文の授業】
○ 授業に意味がない理由
まず、教師は問題の解説をするときに、ちゃんと根拠を教えているのか? ということを問うて欲しいと思います。
多くの学校・予備校に見られがちな解説として、てきとうに(少なくとも私にはそうとしか思えなかった)文中の一文を引用してきて、「であるからにして、(2)であることはあたりまえだよね?」というような授業がひたすら続きます。
しかし、それは感覚ではないのか? それは本当に論理なのか? 果たして論理だったとして、再現性や普遍性があるのか? という疑問が私の頭の中から消えることはありませんでした。
たしかに、逆接・対比・否定・不等号・例示にそれぞれ記号を振り、そこから記号の多い順番に箇条書きで内容をまとめるであるとか、選択肢問題であれば、いくつかの要素に分け、その要素の共通部分が一番多い選択肢が答えだとか、そういう解き方であれば、良し悪しはさておきとしても、理屈としては分かるのです。だれでも再現することができますしね。
しかし、これがキーセンテンスで、これがキーワード。それを見つけるためにはセンスを磨くのが一番などといわれても私は途方にくれるだけでした。
また、予備校などでよく使われる類比構造という解き方も精神論ではないのか? と私は考えています。これは、文章というものは、あらゆる具体例を提示した後に、最終的にはある一般論にいたるものであるから、そこにいたるまでの一本の線を追えばいいという方法論ですが、こんなことが受験生にできるでしょうか?
予備校や学校の先生から解説を聞いてなるほど、ふむふむと思うだけではいけません。それではあなた自身の実力はこれっぽっちもあがりません。
まず、現代文の解法はだれでも再現出来ることが大切です。その点で類比構造や論理などといったものは、理屈が合っていたとしても、だれでもすぐに再現できるものではないですから、あまり良くないでしょう。
次に、すばやくできることが大切です。そういう意味で、先ほど紹介したような選択肢問題のテクニック、――いくつかの要素に分け、その要素の共通部分が一番多い選択肢が答えだとか――そういったよく聞かれる方法論は現実的ではありません。これも却下です。
これらのことから最終的にいえるのは、読解を作業にしてしまうことが大切だということです。作業にするというのは誰にでも出来るようにするということです。
① 逆接・対比・否定・不等号・例示を示す言葉にそれぞれ記号を振る。
② そこから記号の多い順番に箇条書きで内容をまとめる。
③ まとめた中からムダな修飾語句をとっぱらって一つ十五文字ぐらいにまとめる。
④ 指定文字数のなかで収まるように優先順位の低い箇条書きをすべて切り捨てる。
これが現代文の問題において大切なことです。これは、だれにでも出来る作業です。こんな作業だけで現代文がすらすら解けるようになる。
そして、これは、どんな学校・予備校の授業よりも効果的です。実際にこのやり方で、ほとんど文章を読んだ経験の無い教え子でも、難関大プレで合格者平均以上の結果を残しています。また、高校時代不登校で、七月から大学を目指し始めた教え子も、このやり方を小論文に応用して慶大プレで全国十番以内を取っています。
ですから、この作業式現代文はだれにでも出来る方法論です。
詳しいやり方は、私に受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ、実際の問題を元にレクチャーすることもできますし、問題の持ち込みなどにも適宜対応いたします。
○ 理想は板野式自動記号振りシステム!
▽ 板野式はいんちきくさい部分もある
私がこのやり方を思いついたのは、東進の板野先生の「565現代文解法パターン」を読んだためです。
しかし、これもまぁ、現代文界隈にあまたあるうさんくさい参考書のひとつでしかありませんでした。逆接・対比・否定・不等号・例示にそれぞれ記号を振るという方法論を提示してくれたことにはとても感謝していますが、それ以上の価値はありません。
まず、彼の本には自分の方法論で解ける問題・あてはまる問題しか紹介されていません。多くの問題は、板野式の方法論だけでは解けません。
では、板野式を普遍的なものにするにはどうすればいいのでしょうか?
私の知り合いの、世界的に有名なコンサルタントのおじさまに聞いたところによれば、ものごとの分析には以下の三つの方法論が役に立つそうです。
① なぜなぜ分析
ある解決すべき課題があります。これは、現代文であれば、記号が集中している部分にかならず書いてあります。そう、なにか一つ大きな解決すべき課題を扱っている文章を探し出します。これがまず最初にすべきことです。
その一文に丸を付けたあとに「なぜ~なのか?」といったような文章になるように書き足しをします。そして、その答えとなるような文章「~だから、そうなった。」にチェックを入れます。
あとは、ひたすらその繰り返しです。「なぜ~なのか?」が思い浮かばなくなるまで、一応の結論が出るまで、文章の中でこれを繰り返していきます。たいてい、問題の課題文が終わる頃には、「なぜ~なのか?」が思い浮かばなくなる岩盤にたどり着きますし、そうすれば記述問題も選択問題も要約問題以外の大抵の問題はすらすら解けます。
② フレームワーク
フレームワークとは、たとえば、「お金持ち←→貧乏」「美人←→不細工」というような対比を二つつくり、人々を「お金持ちかつ美人」「お金持ちかつ不細工」「貧乏かつ美人」「貧乏かつ不細工」という四つの集合に分けるシステムのことです。
これは現代文だと、対比や不等号の記号が出てきたときに使えるテクニックです。要約問題で使うことの多いテクニックです。
③ ロジックツリー
ロジックツリーというのは、大きな問題を小さな問題ごとに分けて、その中で一番解決しやすく、あるいは一番重要なものについて、①のなぜなぜ分析を適用して解決していくものです。
これは、なにかしら否定の語句が出てきたときに使えます。否定の語句が出てきたときには、ロジックツリーを書いてみて、そこに大きな問題を載せてみます。そして、そこから文章中ではどのようにして問題が分解されていくのかをチェックしてみるのです。こちらも要約問題で使われることの多いテクニックです。特に選択問題の選択肢吟味に有効です。
大体、現代文の記述問題は、この記号化と、三つのテクニックで解けるものがほとんどです。実際の問題を解いてみて、わからないことがあれば、私まで受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)に来て頂ければ幸いです。
○ 内田樹先生のサイト
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