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1-3-1.【古文文法・漢文句法】

 丸暗記ではできない理由

 助動詞の暗記では限界があるということは、意外と知られていない事実です。

 別に助動詞の暗記がいけないわけではないのですが、なぜおぼえられないのか? ということは、冷静に考え直してみる必要があります。

 これは、あらゆる学習について思うことですが、授業とテストの間隔が確認テストも含めて長すぎるような気がしてなりません。

 どんな学習であれそうですが、理解・習得するまでの時間は三分から十分に制限し、同じだけの時間をかけて確認テストをするのがいいと私は考えています。

 古文であれば、なにかしらの文法書などはもらっているはずですから、そういったものでごろをつくってみたりして、なにかしら覚えられる形を整えた後に、習得→テストを細切れに繰り返すのがよろしいかと思います。

 ごろについては、ごろがまとめてのっけてある本を買うなどの方法もありますが、基本的には自分でつくったほうが習得は早いものです。人は自分で工夫してつくったものであれば忘れがたいですし、たとえごろをつくるのに時間がかかったとしても、そういった記憶は深く深く、自分の頭の中に残りますから、結果として勉強は早く片付きます。

 ごろがなじまない人は、理屈から覚えるのがいいですから、東大生のやっている無料予備校のmanavee.comなどで授業を見てから、テストをやってみることをお勧めします。

 テストについては、河合の「古典文法ステップアップノート30」などをテスト代わりに使ってみることをお勧めします。

 実戦に結びつけるには、問題の難易度を少しずつ上げてみることが大切だといわれますが、古文文法に関しては、簡単なものを出しても正答率が二割に届かない現状があるので、大学側もそれほど難しい問題はだしません。

 飽くまで問題演習ということを考えれば、英語の文法習得でもお勧めした、ある程度基礎を押さえた上で、センターの過去問をがりがり解きまくるスタイルがよろしいかと思います。

 文法に関して言えば、東進のサイトから無料で利用できる過去問データーベースでセンターの過去問を十年分ほど手に入れることができるので、文法部分だけ抜き出して演習すればいいでしょう。学校でセンター18年分などをもらう人もいるでしょうから、それでもかまいません。

 センター試験演習をひたすらやる効用をいくつかあげましょう。

 まず、第一に、どの文法事項が頻出であるかということがわかることです。

 一般に、参考書や学校・予備校の授業では、一度扱った事項は、一度しかやりませんが、センター試験では何度でも繰り返し出てくることがあります。どれが良く出てくる文法事項で、どれがあまり出てこない文法事項かが分かれば、記憶に強弱をつけることができますし、テストの結果もより早く向上します。

 しかし、これだけでは演習が足りないので、あとは、自分が志望する大学周辺の問題を解いてみると良いかと思います。

 

 理屈から覚える古文文法、助動詞は一日で習得できる!

▽ 自信がなかった講師

 最初、この方法を教え子にも試したのですが、個別指導講師の仕事がいそがしくなりつつあったこともあり、全統模試の国語全国二位の友達に、教え子を任せてみることにしました。

 最初、彼は自信がなさそうでした。教え子は、be動詞も分かりませんでしたし、まして古文文法など0からのスタートだったからです。

 任せてみて、一週間もしないうちのことでした。

 その友達から、定時制出身の教え子が一日で古文の助動詞を習得したという信じられないような話を聞きました。

「どんなテストしたのさ? なんか、魔法みたいな勉強法でもあるの? テストのファイル見せてよ!」

「いやいや、そんな人に見せられるようなもんでもないよ。恥ずかしい」

「でも、勉強ってのは確かにそうだよな。当たり前のことを当たり前に、の古文確認テスト、当たり前のことを当たり前にやる。それが一番大切」

 私の言葉に、その友達は素直にうなづきました。

 成績を魔法のように上げる奇跡のような奇抜な方法などないが、やってはいけない方法はあるというのが、少なくとも受験勉強に関しては鉄則です。

 当たり前のことを当たり前に。

 このことを、いかに愚直にできるかが勝負なのです。

 このテストについては、公開するほど出来のいいものではないという友人の希望から公開することはしませんが、気になる方は受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)していただければ幸いです。そのときに、お見せしましょう。

 東大生の無料予備校 manavee.com

http://manavee.com/


1-3-2.【古文単語・漢文語彙】

 古文の単語については、Z会の速読古文単語や、学校の履修済みの教科書などを使って、英単語のときと同じように音読で覚えるのが良いかと思います。

 すこし、やりかたについてふりかえってみましょう。再び、私と東北大医学部の先輩の会話です。

「単語を覚えるときに、意味を一対一対応で覚えようとする人がいるだろ? でも、それは効率がわるい。それよりなら、『速読英単語』を一冊丸暗記したほうがいい」

「そんなことできるんですか?」

「できる。誰でもできる。地頭に関係なく」

「どんなふうにやるんですか?」

「まず、一週間目は一章だけやる。文章の解釈もノートにまとめてね。二週間目は一章と二章、三週間目は一章から三章、四週間目は二章から四章というふうに、ひとつずつずらしていく」

「どれぐらいやればいいんですか?」

「一日三回、週五回、三週間。合計四十五回。これだけでいい。かかる時間は一日に一時間もかからない。記憶効率からいって、寝る前にやるといい」

 これをする上で、英語のような面倒な下準備をする必要はまったくありません。丁寧に書かれた授業のノートさえあれば、だれにでもできる習得法です。


1-3-3.【古文・漢文演習】

 古文が読めるフリをしていませんか?

 古文・漢文の授業は、まじめに予習・復習していれば、語彙習得用の最高のノートをもたらしてくれる宝物です。しかし、その一方で学校・予備校の授業につきものの欠点もあります。

 それは、生徒に「わかったふり」をさせる、というものです。そうすれば、当面はわかりやすい講師という評判がついてまわりますからね。でも、それは予習をしていない生徒にとっては、毒になることはあっても、薬になることはありません。

▽ 主語と対象語を付け加えて

 私は、どれほど面倒でも、古文・漢文で主語と対象語が抜けている場合は、それを付け加えて現代語訳を生徒自身の手で作るべきだと考えています。

 学校の先生や予備校の先生は、なんの解説もせずに、当たり前のここにここを付け加えて読んでくれるので、なんとなしにわかった気になりますが、実際の試験会場では付け加えて出題されることなどまずありえません。

 ですから、どんなに面倒でも古文・漢文で主語と対象語が抜けている場合は、それを付け加えて現代語訳を生徒自身の手で作るべきです。

▽ 敬語を押さえて

 主語と対象語を決定する上で、一番大切になってくるのは敬語です。二重敬語なら、主語に入るのは誰と誰しかありえないといったように、敬語の種類によって簡単に主語を決定できることが往々にしてあるからです。

 このようなことをまじめにやっていれば、古文の成績はかならず伸びます。いまからではもう遅いというひとは、Z会の速読古文単語や、教科書ガイドを買ってきて、白文を自分で現代語訳してみて、添削すると良いでしょう。

▽ 漫画・小説はバカにできない!

 あと、古文にせよ、漢文にせよ、出題される文章はさほど多くはありません。ですから、一通り有名どころを読んでしまうことをお勧めします。これは、いわゆる古文常識・漢文常識を知るためでもあります。

 青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/